阿部快征のファンであることを自慢できる存在に

――そんななかでの撮影エピソードを教えてください。

 夜遅くまで、学校で撮影していたのですが、スタッフさんがずっと僕の横にいてくれるわけではないんです。1人でお手洗いに行ったり、ご飯を取りに行ったりしたのですが、あまりに真っ暗な道を通ったりするので、楽屋で誰かがいるときは「僕、怖がりなんですー」と話していました。それで女性の方から、「そんな怖くないですよ。しっかりしてください」と慰められたのが、いい思い出です(笑)。

――どんな新しい阿部さんが観られる作品になったと思いますか?

 2年半前に撮影した作品ということで、ちょっと昔の僕の姿が見ることができます。しかも、なかなかレアな男子高校生役だったりします。最近はセーラー服姿が多いもので……(笑)。

 また、この作品を見ることによって、みなさんが学生だった“あの頃”を思い出せると思うんです。そうやって、思い出を振り返りつつ、自分と照らし合わせながら、心を動かしてほしいと思います。そして、主演のお二人の無声芝居、声を出さない動きやお芝居にも注目していただけると、より楽しめるのではないでしょうか。

――今後の希望や展望を教えてください。

 個人的には、ヒゲの似合う役者になりたいです。二十歳ぐらいの頃に油性ペンでヒゲを書いて、「自分は似合う顔」と思っているので、ファンのみなさんにはそれまで応援していただきたいです。

 また、宮城にいる親に「僕がどういう仕事をしているか?」を観てほしいとき、舞台だと東京まで来てもらわないといけないので、映画など、映像の仕事も頑張っていきたいです。そして、よりマルチに活動して、ファンのみなさんが阿部快征のファンであることを自慢できる存在になりたいです。それで「私の推しは、こんな仕事をしています!」と、堂々と言ってほしいです。

阿部快征(あべ・かいせい)

1996年5月22日生まれ。宮城県出身。2013年、「第26回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でのフォトジェニック賞受賞を機に芸能界に入り。15年、舞台「大正浪漫探偵譚~東堂探偵事務所~」で俳優デビュー。舞台「黒子のバスケ」など、数多くの舞台で活躍。映画『Sea Opening』(監督:堀内博志)、『COLOR CROW-緋彩之翼-』(監督:ヨリコジュン)などにも出演。

『きみといた世界』

クラスメイトの碧衣(中川可菜)にひそかな恋心を抱く、高校3年生の水野(高橋改)。ある日、コミュ障の卓は碧衣と誰もいない謎の世界に迷い込んでしまう。謎の管理人(弓削智久)から「元の世界に戻るには2人が「心を合わせる」ことが必要」と教えてもらい、試行錯誤を繰り返す2人だったが、そこに碧衣が好きだった工藤(阿部快征)が現れる。
12月14日(金)より池袋・シネマロサほか、全国順次公開
https://kimitoitasekai.com/

Column

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