作品と年齢を重ねるにつれて仕事観が変化

――その後、ドラマ「熱海の捜査官」で俳優デビューし、『管制塔』では映画初出演にして初主演を務めました。「熱海の捜査官」の演出は映画監督でもある三木聡さんでしたが、いかがでしたか?

 三木聡監督は、自身の世界観にこだわって作品を作られている方でした。撮影前に「時効警察」のほかに、『イン・ザ・プール』『亀は意外と速く泳ぐ』『転々』『インスタント沼』などの作品を観ていて、監督ならではのユルい世界観や、普通気付かない細かい笑いがスゴく好きになっていたんです。だから、撮影中はめちゃくちゃ怒られたんですけれど、とても楽しかったです。『管制塔』は10日間、泊まり込みで北海道・稚内で撮影しました。少人数のスタッフ・キャストが、寒さに耐えながら作った達成感だったり、団結力だったり、映画作りの楽しさを知るきっかけになった作品です。

――そして、「黒の女教師」「35歳の高校生」などの学園ドラマにも生徒役で出演されます。同世代の俳優たちが多い現場で学んだことはありますか? また、ライバル視するようになったりしました?

 学園モノということで、同年代の俳優が中心となって、教室の空気感みたいなものを作り上げていく。どこか青春っぽさを感じましたし、その中で自分の見せ方を考えるようになりました。ライバル視はしたことないですが、同世代ならではの受ける刺激によって引き締まる部分もあります。自分自身でも分からないんですが、年齢を重ねることで、この仕事に対する考え方も変わってきたと思います。それは高校を卒業したことで、より強まりました。

――具体的にはどういう変化でしょうか?

 この仕事一本でやっていこう、という気持ちです。せっかくこの世界に入って、役者をやらせてもらっているのだから、と勉強のつもりで、いろいろな映画を観るようにもなりました。たとえば、ロバート・デ・ニーロがシブい『タクシードライバー』だったり、北野武監督の『キッズ・リターン』だったり、映画の面白さが分かってきたことで、これからもいろいろな作品を観ていきたいと思うようになりました。そのほか、小説やマンガを読んだりとか、このお仕事は何をやっても糧になるというか、どんな経験でも演技に生かせると思えるんです。だからというわけではないですが、よく地元の友達や役者仲間とフットサルをしたり、草野球したり、ビリヤードしていますね(笑)。

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2014.04.11(金)
文=くれい響
撮影=深野未季