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奈良時代にはすでに洞窟風呂で蒸気浴も

 日本の“浴場”の始まりは、奈良時代に見る洞窟風呂。湯に浸かるのではなく蒸気浴で、岩山の穴の中で青葉や枯木をたき、海水などを含ませたムシロの上で蒸気を浴びつつ汗を流した。まさにサウナ。

 薬草蒸しの岩盤浴といってもよく、それってあまりに今時すぎない? ときっと驚くはず。体の浄化のみならず健康法でもあったようだ。

 ただ、湯を沸かす入浴様式は6世紀に仏教に伴って伝来、まさに“業”を洗い流す入浴は「七病を除き、七福を得る」との教えから、多くの寺院に浴堂ができ、“施浴”として近所の民や旅人にも開放され、利他の役割も担ったのだ。近代の銭湯がお寺風の建物だったのも、実はこの時代の名残なのである。

2024.11.18(月)
文=齋藤 薫(美容ジャーナリスト)

CREA 2024年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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楽しいひとり温泉。

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定価980円

CREAがはじめてひとり温泉を特集して7年。当時は「女性がひとりで温泉なんて!」と驚きを持って受け止められたこのテーマも、いつか珍しくない光景となりました。そして8年目となる今年、「ひとり温泉」は次なるフェーズへ。コロナ禍を経て、進化する“温泉地”を舞台に、めぐる旅を大特集します。いまこそ、めぐるか。それでも、こもるか。さあこの秋こそ、楽しいひとり温泉へ!