――一緒にいて居心地がいい、というのとはまた違いますか?

由美 会話が弾んで話が止まらないということはないけど、しゃべるときはしゃべるし、あえて話す必要もないし。最初の関係とは違ってきて、いまは親戚のおじさんみたいな感覚です。民生さんしかり、私たちに携わってくれた先輩ミュージシャンの方々はみんなそうですね。会うと、「お前らがんばってるか?」って言われるみたいな。

亜美 久しぶりに実家に帰ったら親戚のおじさんがいて、「もう帰る」と言うと「駅まで乗せてってやるよ」って、おじさんとふたりでトラックに乗ってるみたいな空気? こっちはずっと携帯いじってて、「じゃあ元気でなー」「また来るよー」って。伝わるかな?(笑)

 

めちゃめちゃ難しい民生さんの曲

――想像できます、その空気は(笑)。民生さんが作る曲の魅力はどこにあると思いますか?

由美 民生さんの曲はめちゃめちゃ難しいんですよ。たぶんPUFFYの曲の中で、いちばん難しい曲を書くのが民生さんかな、っていうくらい。そういう曲をサササと作ってのけるところがカッコいいし、一生追いかけたい背中だなと思うところです。自分も何年もやってきて、成長するところは成長したんですけど、それでも民生さんから曲が来ると「ゲッ、難しい!」って。

亜美 自分たちの曲なので、私たちの歌い方が正解だと言われればそうなんですけど、私たちは民生さんのデモを聴いて育ってきたので。どうやってもああはなれないです。

由美 最初のデモテープは「ラララ」でもらうんですけど、あまりにも忙しい時期はレコーディング当日に歌詞ができあがってきたりして、すると民生さんが「一回歌うわ」って歌ってくれるんですよね。それを一生懸命聴いて、お手本にして歌うんですけど。

――難しいと感じながら、いい曲だと思って聴くんですよね?

亜美 そうです。聴きながら、これをそのままリリースすればいいのにって(笑)。めっちゃいいじゃん、この曲っていつも思います。

2024.10.16(水)
文=門間雄介