由美 そのときは歌詞のリサーチ? たぶんPUFFYってどんな子たちなんだろうって、それを知るためにいらっしゃったんです。そのとき私はハモりのパートがわからず、えんえんブースで歌入れしてたんですけど、ガラスの向こうを見たら陽水さんと亜美ちゃんがこっちを見てニヤニヤしていて。ふたりで座って、なにか話してたんだよね?

亜美 そうそう。陽水さんが椅子を持ってきて、「君にインタビューするからここにいらっしゃい」って。たしか生い立ちからなにから聞いてくださったんですよね。私は幼少期の2年半くらい韓国のソウルに住んでいたので、それがアジアっぽい歌詞につながったのかなって。インタビューからなにをくみ取ってくださったのか、ほかにはよくわからない感じになってましたけど(笑)。

由美 私も同じようにインタビューされましたけど、「アジアの純真」につながる話はあまりなくて。この子たちならなにを書いてもいいと思ったのかなって、勝手に解釈しました。

――民生さんの鼻歌を陽水さんが書き起こしたらああなった、という説もありますよね。

由美 ああ、陽水さんがそんなことをおっしゃってましたね。でも果たしてそうなのか?(笑)

亜美 あはは。ね? 

 

陽水さんの歌詞は「みんな歌ってみ」と思う気持ちよさ

――ちなみに民生さんと陽水さんのコンビは、その後も「渚にまつわるエトセトラ」(1997)、「オリエンタル・ダイヤモンド」(2007)の2曲をPUFFYに提供しています。

亜美 民生さんと陽水さんはお互いを尊敬しあっていて、キャッチボールがすごく上手くいってるふたりですよね。ユニットも組んでらっしゃいますけど、お互いが好き同士で、細かいことを言わなくても理解しあえる。陽水さんはこう来るだろうな、奥田くんはそう来るよね、みたいな感じで。

由美 陽水さんの歌詞を最初に文字で見ると、「え!」とか「は?」とか思うんです(笑)。でも歌うとめちゃめちゃ歌いやすい。それは3曲ともそうですね。どの曲も歌っていて気持ちよくなる。文字で見るのとまったく違うなって。だからみんな歌ってみ、って思います。

2024.10.15(火)
文=門間雄介