――そんな民生さんから、一緒に音楽をやろうと持ちかけられて、どんな気持ちでしたか?

亜美 ただ「えー! わー! すごーい!」って(笑)。

由美 それがどれだけ大ごとか、よくわかってなかったんですよね。デビューすることの意味もよくわからなかったし、大勢の人たちが関わることも知らなかったので、本当に「わー!」だったよね?

亜美 うん、「わー!」だよ。

 

「正直なところ、これはシングルじゃないなと思ってました(笑)」

――デビュー曲「アジアの純真」を最初に聴いたのは、民生さんの鼻歌が入った状態のデモテープですか?

由美 はい。そのころ『amiyumi』という最初のアルバムを作っていて、その途中の1曲だったんです。これがシングルになるという認識もなく、アルバムの中の1曲という感じで聴いていたら、陽水さんの歌詞が届いてびっくりみたいな。

亜美 私も正直なところ、これはシングルじゃないなと思ってました(笑)。でも陽水さんが歌詞を書いてくださったこともあり、これはシングルで決まりだねみたいな雰囲気なんです、大人たちは。私は、まだなにもわかってなかったからなんですけど、「いやいやいや、本当ですか?」って。「大丈夫ですか、それで?」って心の中でずっと思ってました。

――陽水さんが書いた歌詞のインパクトは大きかったですよね。なにより陽水さんの存在感そのものが大きくて。

由美 陽水さんが初めてレコーディングスタジオに来られるときの、スタッフ全体のピリッとした雰囲気で、私たちはすごいことをしてるのかもしれないと初めて感じたくらいです。民生さんと私たちだけで作業をしていたときは、“あの奥田民生”ということを忘れちゃうほど普通に接していて、わちゃわちゃしていたのに、陽水さんが来ることになった瞬間、空気が変わって。

亜美 「君たち、ちゃんとしてね!」って言われて、怖かったよね(笑)。

「アジアの純真」歌詞の由来

――陽水さんと初めて会ったときに歌詞を渡されたんですか?

2024.10.15(火)
文=門間雄介