「呪術廻戦」や「僕のヒーローアカデミア」などの主題歌を手がけ、幅広い層から支持を集めるシンガーソングライターの崎山蒼志さん。この夏、海外フェスへの参加のため、2度目の海外へ旅に出ました。荷物に忍ばせたのは1台の「写ルンです」。27枚のフィルムは、崎山蒼志の視線は、どんな風景を刻んできたのか。

》崎山蒼志さんが撮影してきたインドネシアの風景を一覧で見る。
※上記リンク先が誤っていました。10月4日13時38分に修正しております。


2度目の海外、3箇所目の国、インドネシアへ

 7月18日、インドシアの首都、ジャカルタに向かった。「Impact nation japan festival」というフェスに参加するためだ。インドネシアに行くのは初めてで、それどころか今年のはじめ、公演のため向かった台湾と香港が初めての海外だったので、実質2回目の小旅行、3箇所目の海外である。

 早朝、成田空港に集合し、いざジャカルタへ。8時間弱なんて長時間のフライトも初めてだったし、向かうのは初めての場所。飛行機が苦手なことも含め、少々緊張気味な朝だった。そんな緊張を、ぐっとビールで押し込み、搭乗を試みる。

 結果、とても快適なフライトであった。慣れない早朝集合のため、不眠気味であった体も、機内でぐっすり眠ったからか、着いた頃にはすっきりと冴え渡る。機内を降りてすぐ、事前に両替しておいた現地通貨で、自動販売機でココナッツジュースを買ってみた。これがあんまり美味しくなかった。ジャカルタ旅行での唯一の選択ミスだったように思う。

 入国審査を終え、外へ出る時、ジャカルタはもう夜であった。日本とは違った具合の、湿度の高さを感じる。日本の夏のように、圧迫されるようなムアッとした湿度というよりは、全体的に空気の水分量が多いという感覚。気温も関係していると思う。思っていたより暑くない。あまり息苦しさのない空気だと思った。近代建築的な、荘厳なターミナル。出口からほど近いロータリー付近で賑わうムード。湿度にネオンが潤んでいるように感じる。慣れない言語が飛び交う。あ、そうかジャカルタに着いたのかと、ここで初めて実感した。

2024.10.03(木)
文・写真=崎山蒼志