――極端なダイエットとは、どんなものを?

藤井 5日間水だけとか、もう断食ですよね。そのときはリバウンドで12キロくらい太って、64キロくらいまでいってしまって。編集部から「このままだと撮影できなくなるかも」と言われてしまうほどでした。

 で、焦ってまた断食して一瞬は痩せるんですけど、爆発して食べてすぐ太る……みたいな悪循環ですよね。

「痩せている=美しい」という刷り込みで摂食障害に

――暴食してしまったときは何を食べていた?

藤井 キットカットのファミリーパックを一気に2袋食べるとか、そういう感じです。

――そのとき、美味しいと感じている?

藤井 味とかじゃないんですよね。自分を痛めつける感覚で、自傷行為みたいなものだったと思います。私は拒食の方ではなく過食に走ったので生理が止まるといったことはなかったですが、結局、摂食障害の診断を受けて19歳頃まで治療をしていました。

――そもそも、痩せたいと思った理由は?

藤井 痩せないとモデルとして大成できないのではないかと、勝手に思い込んでいました。今思えば、まったく痩せる必要はなかったと思うんですけど。

――体重や体型に問題があったわけではなかった?

藤井 まったくなかったんですけど、雑誌や広告から「痩せている=美しい」というメッセージを受け取っていて、刷り込みをされていたんだと思います。

 

生きづらさは資本主義や政治が関係した“呪い”だった

――最近では「プラスサイズモデル」も登場し、社会の変化も大きいです。

藤井 10年くらい前までは「美」の基準が画一的で、そこから外れることはダメなことだと思っていましたが、今では、ヴィクトリア・シークレットのモデルも多様な人種や体型の方が登場していますよね。

「痩せなきゃ」という生きづらさは、私個人のせいというより、資本主義や政治が関係した“呪い”だったんだと、最近気付いたところです。

――モデルという仕事では、そういった“呪い”と距離を置くことは難しくないですか。

2024.10.12(土)
文=小泉なつみ