たとえば、任天堂Wiiがめちゃくちゃ流行っていた小学生のとき、「みんなが持ってるから欲しい」と言ったら買ってもらえなくて。それで、欲しい理由として、「好きな男の子がいて、その子と話す話題が欲しいからWiiが欲しい」と説明したら買ってくれたことがありました。
つまり、“自分軸”の明確な理由がなければ、どんなお願いも却下されてしまうんです。
――その他にプレゼンで勝ち取ったものは?
藤井 もう本当に全部ですよ。それこそ定期券を買うのもプレゼンです。
当時、家から電車で1時間半ぐらいかかる遠方の学校に通ってたんですけど、いろんな行き方があったので、「この線を使ってここで乗り換えれば◯◯線を使うより安くなるから、これで行きます」と、定期代の値段の根拠をプレゼンして、お金をもらっていました。
海外旅行はできたけれど「基本的には厳しく育てられてきた」
――プレゼン方式はご両親の教育方針だったのでしょうか。
藤井 主にお父さんですね。制服も、「なんでこの色のこれがいいの?」とか、「それならお姉ちゃんのおさがりをもらえるんじゃないか?」と言われて、そこを全部反論してやっと新しい制服を買ってもらうような感じでした。
――裕福な家庭ゆえに、あえてお金に関して厳しかった?
藤井 代々続く名家とか資産家というわけじゃなく、おじいちゃんおばあちゃんも田舎の人で、お父さんが一代で頑張って築いたキャリアだったので、父自身、“セレブ”とか“お金持ち”とか、そういう感覚はないんだと思うんです。
たしかに海外旅行はよく連れて行ってもらっていろんな経験はさせてもらいましたが、基本的には厳しく育てられてきたと思います。
――子ども側からするとなかなか大変ですよね。
藤井 「なんで毎回プレゼンしなきゃいけないの?」と、ずっと思ってました。それと、放任主義でもあって、何事に関しても「自分で責任がとれるなら自由にやりな」というスタンスだったので、それもプレッシャーでしたね。
2024.10.12(土)
文=小泉なつみ