〈「私の人生、何なのよ!」って洗濯物を投げ荒れたり…女優・赤間麻里子(53)の人生を変えた「虎の大ベテランと樹木希林の言葉」〉から続く
映像制作ユニット「こねこフィルム」によるショートドラマ『年齢確認VSプライド』での演技が注目を集める女優・赤間麻里子(53)。今年は朝ドラ『虎に翼』(NHK)やドラマ『アンメット』(フジテレビ系)にも出演。53歳にしてついにブレイクを果たした赤間が、無名塾時代の挫折、育児による10年のブランク、そして映画初出演後に発覚した病について初めて語った。(全3回の3回目/#1から読む)
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原田監督からのオファー『尼さんの役やらない?』
――乳がんが見つかったのは、いつ頃だったのでしょう?
「2012年でした。わかった時にはすでに進行していて、医師からは右乳房を全摘出するしかないと言われました。けれども、そうすると胸元が抉れて、もう衣装が着られなくなってしまう。せっかく映画デビューして夢を掴んだのに、それだけは嫌だと、部分的に摘出することを選びました。そうしたら、やっぱりがん細胞が残っている可能性があると言われました」
――その後はどんな治療をされたんですか?
「放射線治療と抗がん剤を限界までやりました。副作用で髪の毛が抜け、頭はツルツルになって……。副作用の影響もあり、3年間ぐらいはかなり精神的にもきつかったですね。ホルモン治療も受けたのですが、ホルモンの乱れから精神的なコントロールができなくなってしまうこともありました。自分でも訳が分からないまま、子供たちに暴言を吐いてしまい、子供が泣いている姿を見てハッと我に返り、自分も泣いて落ち込んで……」
――壮絶な闘病生活だったんですね。
「あの時はつらかったですね。なんで私ばかりがこんな目に、と思ったこともありました。でも、そんな時に、原田監督が『お前、今ハゲてるらしいじゃん』って、わざと明るく声をかけてくださって。『時代劇なんだけど、尼さんの役やらない? 体調はどう?』とオファーをしてくださった。それが『駆込み女と駆出し男』(2015)でした。病院の先生に相談すると、『肺炎になると命取りだから、風邪をひかないように気を付けてくれるなら』とOKをいただいたので、『やります!』とお応えしました」
2024.07.22(月)
文=「週刊文春」編集部