――つらい気持ちを抑えながら、少しでも明るく振る舞おうとする様子はとてもリアルに感じられました。
「そう言ってくださる人もいる一方で、SNSには『あのコンビニの人じゃん』『ドラマが全然頭に入ってこなかった』といった声もけっこうあったんですよ。こねこフィルムではコメディー色の強いキャラクターを演じてきたので、そのイメージがついてしまっては、もうシリアスなドラマに呼んでもらえないかもと不安にもなりました。でも、よくよく考えてみたら、アイドルや芸人の方もイメージを引き摺らずに映画やドラマに出てすばらしい仕事をされている。アメリカや中国では縦型のドラマが主流になりつつあるとも聞きますし、これも役者の宿命と受け入れ、SNSとテレビや映画、どちらのお芝居も視聴者の方に慣れてもらえばいいんだ、双方ともに全力でやり切ればいい。最近はそう思うようになりました」
こねこフィルムの反響
――ドラマの現場などで、こねこフィルムのことを聞かれることはありましたか?
「現場で共演する方、スタッフの方に「観てます!」「ファンです!」「撮影はどんな風にしてるの?」と興味を持ってくださる方がいらして、プロの方にも喜んで観て頂けている事が、とても嬉しいですね」
――なんでも、赤間さんと同じ無名塾出身の女優の若村麻由美さんもこねこフィルムのファンだとか……。
「そうなんです。動画を見ながら、『この表情が変わるところが、好きなの! ここ!』と熱く語ってくださって(笑)。なんと、師匠である仲代達矢さんも見てくださっているんですよ」
――仲代さんが!
「『いつも観てるよ。新作が出るのを楽しみにしてる』と、仰ってくださっているそうです」
最終目標は、こねこフィルムのチームで映画を撮ること
――仲代さんから「60歳まで情熱を燃やせば売れるかも」と言われてから約30年。53歳にしてついに報われたというお気持ちはありますか。
「まだ『売れた』という実感はないんですよ。でもこの前、ほぼスッピンで買い物をしていたら、ママ友に、『わかる人にはわかるんだから、化粧した方がいいよ!』と叱られてしまいました(笑)。今はとにかくお芝居をしたい欲求が溢れでて、あれもやりたい、これもやりたい! 芝居ができるんだったらどこへでも行く! という気持ちですね。亡くなった父は、私に手紙を遺してくれていたのですが、そこには『全身全霊で望む職業に就いたのだから、感謝して、最後まで全うしてください。僕は天国で宇宙規模のファンクラブを作って応援しています』と書いてありました。まだまだ頑張らないといけません」
――今後の目標をお聞かせください。
「こねこフィルムの三野監督はじめスタッフ・メンバーともに、このチームで映画を撮ることを目標としています。これまで映画館にあまり足を運んだことのない方にもスクリーンで作品を観ていただけるよう頑張ってまいります。皆様、どうか楽しみに待っていてください」
2024.07.22(月)
文=「週刊文春」編集部