杉咲花が記憶障害のある脳外科医・川内ミヤビを演じ、若葉竜也演じるアメリカ帰りの脳外科医・三瓶友治との尊い関係も話題となったドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』。脳梗塞から失語症になったコラムニストの清水ちなみさんも、このドラマにハマって毎週見ていたと聞き、当事者が見た『アンメット』の感想を伺いました。 【以下、ラストのネタバレ含みます】

 清水 病気になる前はドラマを全然見なかったんですが、失語症になってからは言葉のリハビリを兼ねていっぱい見るようになったんです。新しいドラマが始まると、とりあえず見て、半分ぐらいは途中でパスするんですけど、『アンメット』は最後までずっと毎週楽しみに見てました。

――ドラマの1回目から、清水さんと同じく脳梗塞から失語症になる女優のレナさんが登場しましたよね。

 清水 そうでしたね。レナさんはいきなり、メガネとか洗濯バサミとか物がいっぱい並んでいる中から「スプーンを選んでマグカップに入れてください」ってテストをやらされていましたけど、「えっ、最初からこんな難しいことやらされるの?」って思いました。

――あのテストは難問なんですね。

 清水 スプーンを見れば「食べるときに口に運ぶ道具だ」というのはなんとなくわかるんですが、その単語が浮かばないんです。レナさんは最初からスプーンを手に持ったので、すごいなと。脳の損傷した箇所によって失語症の症状も違ってくるし、それによってできることが違ってくるのかもしれませんが……。私が最初にやったのは、犬とか馬とかの絵を見て、「これは何ですか?」という質問に答えるというリハビリだったと思うんですが、もう間違いだらけで。10問中3問しか答えられなかった(笑)。

2024.06.30(日)
文=臼井良子