●俳優を目指し、リリー・フランキーの付き人も
――もともと、俳優に興味はあったのですか?
母親の影響で、子どもの頃から映画を観るのは好きでしたが、俳優になろうと思ったことはありませんでした。それで学期末の演劇の発表会で、全編英語の三人芝居をやることになったのですが、いざ舞台に立ったら恥ずかしくなってしまって、袖に逃げちゃったんです。
それで後々、「なんで、あんなダサイことしちゃったんだろう?」といった思いになったのが、役者を目指すようになるきっかけです。
――13年、古厩智之監督のワークショップに参加し、古厩監督の『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』に出演されます。
大学にも行かず、バイトしつつ、映画を観まくっていたときに、ネットで古厩監督のワークショップがあることを知り、なんとなく「お芝居の講義を受けられたらいいな」程度の気持ちで応募しました。
それで主演の佐野岳さんの同級生役で、映画にも出させてもらって、「お前、大丈夫かよ?」というセリフももらったんです。でも、本番では、その一言が上手く言えなくて、「なんで、こんなにできないんだろう?」という悔しさが募りました。
――その後、塚本晋也監督作『野火』のオーディションで、若い兵士・永松役に抜擢されます。
友だちから、「こんなオーディションあるよ」って連絡をもらい応募しました。そこで、いろんな経験をさせていただき、特にアナログな映画の現場の面白さに気づかせてもらえるきっかけになりました。
『野火』は撮影から劇場公開されるまで2年ぐらいかかっているのですが、じつはそのあいだの半年ぐらい、共演させていただいたリリー・フランキーさんの付き人をやらせてもらったんです。リリーさんの現場に行ったときは、ずっとモニターを見つめて、演技を勉強していました。
2024.06.21(金)
文=くれい響
撮影=佐藤 亘