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◆鰐梨、胡瓜

 お口直しには、かわいらしい料理2品を。植木鉢に花咲くのは、鰐梨(アボカド)のクリームの花です。自宅で育てられたナスタチウムの花びらを取り、ライムとパプリカを加えたアボカドのクリームを芯に絞ってから、再び花びらを1枚1枚つけるという手のこみよう! あまりの愛らしさに、いつまでも眺めていたくなってしまいます。

 「お花を食べるのって、かわいいですよね。サラダ感覚で、手に持って花びらごとぱくっと召し上がってください」と、さわのさん。口の中で広がる味わいは、ワカモレのようにさわやかです。

 もう一方は、インドのストリートスナックとして有名な揚げ菓子「パニプリ」に、胡瓜(きゅうり)、セロリ、トマトのジュースを注いだひと品。パニプリの香ばしくパリパリした食感が楽しく、さっぱりしたガスパチョのようなおいしさがじゅわっと広がります。

◆茶菓子

 和紅茶にカルダモン、レモングラス、完熟の台湾産パイナップル、少しお砂糖を加えたトロピカルなお茶とともに供されるのは、3種類のお茶菓子です。

 写真左の大福は、イチゴやベリーのジャムを混ぜ合わせた白餡と、アメリカンチェリーをやわらかなお餅で包んで。おだやかでフルーティな味わいが魅力的です。写真中央は、フレッシュなさくらんぼをアプリコットのパート・ド・フリュイでコーティング。みずみずしさが弾けて、アプリコットの凝縮された果実味とマッチします。そして写真右は、チョコレートのガナッシュにパッションフルーツのジャムを重ねたタルト。トロピカルな味わいと酸味が、お茶ともぴったりです。

 「素材使いに関しては、お料理とお菓子の境目はあまりないんです」と語る、さわのさん。

「何のジャンルの料理人か聞かれることはありますが、私自身はジャンルレスでいいと思っていますし、食材同士が共鳴しているのを敏感に察知しながら、季節のなかで感じたものを表現していきたいと思っています。味がおいしいのはもちろんですが、季節を感じながらストーリーを体験できるようなコースになればいいな、と。料理だけれど、アートをつり上げている感覚でつくっているのかもしれません」。

 「休日喫茶室」の開催日はインスタグラムで告知され、完全予約・抽選制。心も体も癒され満たされる、おだやかで素敵な喫茶室です。

オーナーシェフ さわのめぐみさん

1984年神奈川県生まれ。家族全員が料理人という家庭で育ち、物心がつく頃には同じ料理の世界に。イタリアへ渡り、コネリアーノ・ヴェネト、フィレンツェのレストランで約2年間修業する。2014年独立し、ケータリング、ホテルやカフェのレシピ開発、フードイベントのプロデュースなど、多方面で活躍。2021年、神奈川県・鎌倉に「Nami Zaimokuza」をオープンする。誰もが知る物語をコース料理として楽しめる、食べるアートイベント「ものがたり食堂」も開催し、2022年には、絵本『種をあつめる少年』(2022年、ニジノ絵本屋)を出版。

nami zaimokuza

所在地 神奈川県鎌倉市(非公開)
電話番号 なし
営業時間 11:00~12:30、13:00~14:30、15:00~16:30、17:00〜18:30
定休日 月~金曜
Instagram @nami.zaimokuza

休日喫茶室

料金 12,000円~
開催日時 Instagramで告知。時間は上記の4部制。
※完全抽選予約制。

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