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◆竜髭菜

 2品目には、季節の野菜である竜髭菜(アスパラガス)が登場。ホワイトアスパラガスのパンナコッタに、トマトの種のまわりの透明な部分と鰹出汁、鶏出汁を合わせて茹でたグリーンピース、青じそのオイルを添えて。上にのせられているのは、フレッシュなアスパラガスです。

 「家でアスパラガスを食べるというと、どうしても焼くか揚げるかというところだと思うので、パンナコッタにしました。パンナコッタはもともとデザートですが、それっぽくありつつお料理として。お出汁に合わせるとえぐみが消えて、甘く感じられると思います」と語る、さわのさん。アスパラガスとグリーンピースの甘み、香りがふくよかに響き合い、青じそが清々しさを添えます。

 こちらには、ラベンダーと青じそシロップのドリンクをペアリング。「お料理にかけた青じそのオイルとリンクさせました。青じそを合わせると、ラベンダーの香りの主張が抑えられて、調和した新しい香りになるんです」。

◆海苔

 続いて、青海苔(青のり)と自家製リコッタチーズ、すりおろしたレモンの皮を混ぜ合わせて閉じ込めた、ラビオリを。

 ラビオリには竹炭が使われていて、トマトの赤い果肉とニンニク、タイムのソースと織り成す、赤と黒のコントラストが鮮やか! 思わず目を奪われます。口に運ぶと、ラビオリはプリッと口当たりよく、やさしくピュアな素材の風味が口いっぱいに。レモンの香りがふわりとさわやかに漂います。

 「他のお皿がどうしてもごちゃごちゃしているので、ラビオリはあまり攻めず、シンプルに王道のお味で仕上げました。ソースがおいしいので、チーズもかけすぎないようにしています」。

 ペアリングのドリンクは、庭のいちじくの葉を乾燥させて煮出し、パッションフルーツの果汁と合わせたもの。いちじくの香りが驚くほど力強く、パッションフルーツの酸味が口の中をすっきりリフレッシュさせてくれます。

2024.06.19(水)
文=瀬戸理恵子
写真=鈴木七絵