CREA2024年夏号「猫」特集内「あの人と猫の毎日は。」にて、愛猫マースとの暮らしぶりをたっぷり語ってくれた、THE RAMPAGEの藤原 樹さん。近年の藤原さんといえば、パフォーマー業に加え、俳優業にも熱心に取り組んでいる。
本年頭に出演した舞台で宝塚歌劇団の男役スター・水美舞斗さんと堂々と渡り合ったのも記憶に新しい『HiGH&LOW THE 戦国』や、現在全国をめぐっている『THE RAMPAGE LIVE TOUR 2024 "CyberHelix" RX-16』、そして最近のメンバーとのエピソードまで、藤原さんの“今”を覗いていく。
“ザ戦”を振り返って「緊張感とプレッシャーは相当」
――藤原さん個人の活動としては、2024年は舞台『HiGH&LOW THE 戦国』の出演が幕開けだったかと思います。振り返ってみて、いかがでしたか?
もともと脚本家のノリさん(平沼紀久)が僕のことを知っていることもあり、演じた姫川弦流という役は、少し自分に似せて描いてくれたようなところがあったんです。だから、役自体は演じやすいと思っていました。ただ、僕の相手が宝塚歌劇団の水美舞斗さんで、ほぼ二人のシーンばかりだったから、その緊張感とプレッシャーは相当すごかったです。緊張感でメンタルがやられました。
――珍しいですね、藤原さんが。
はい。初めてこんな気持ちになりました。水美さんと僕のシーンはBGMもなく、しーんと静まり返った中でずっと芝居をやっていたので、それはもう……その空気感に飲み込まれそうでやばかったです。毎回「今日もあれをやるのか…」という気持ちになっていましたね。感情を出すシーンは、そのときの気持ちで熱量を上げていけるから全然いいんです。問題は、説明のシーンや言葉を発しない場面で、とにかくプレッシャーにやられていました。
――観劇されている皆さんの期待感も、かなり高い舞台でしたから。
そうだと思います。本当にありがたいことに、公演を重ねていくごとに観劇された方からの感想や口コミで盛り上がっていただいて……、水美さんのファンの方も「すごい良かった」というようなことをおっしゃってくださっていたのも嬉しかったですね。「普段から水美さんの舞台を見ている方の期待にも、きちんと応えられる芝居をしないと、超えないと」というプレッシャーでいっぱいだったので。
今まで僕が出演した舞台のお客さんは、基本的に僕のことを知って見に来てくれている方が多かったので、気持ち的なプレッシャーみたいなものはありませんでした。けれど、今回の舞台は、宝塚さんのファンの方が客席の半分くらいを占めていらしたんです。お客さんの中には着物を着ている方もいらしてびっくりしました。そのちょっといつもと違う空気感にも圧倒されていたんだと思います。
――そこまでご自身のすべてを懸けた舞台が終わった後、達成感もひとしおだったのでは。
達成感、ものすごくありました! 今までで一番でした。ここまでの緊張感、プレッシャーがあったからこそ、こんなにも達成感が芽生えたんだと思います。自分自身のメンタルもめちゃくちゃ鍛えられました。プラスになることしかなかったので、本当にやってよかったと思います。
――千秋楽の客席では涙されている方もいらっしゃいましたが、藤原さん的に気持ちの高まりはあったんですか?
千秋楽は生配信もあったので、最後の最後まで本当に気が抜けない感じだったんです。とにかく終わった直後は「やりきった、やっと終わった!!!」と。「もう一回やりたい」という気持ちとかは……まだ全然(笑)。
――最後のスペシャルカーテンコールでは水美さんとハグする場面も感動的でした。そのときのことや水美さんとのエピソードもありますか?
スペシャルカーテンコールでは、もともと二人で踊るという違う振りがあったんです。けど、直前に「これ、踊らなくてもいいよね」となって、流れでああなりました。
水美さんとご一緒させていただき、いろいろとお話を伺っていると、宝塚さんではいつも1舞台50数公演を、年に2~3回やられているスケジュールだと。それをこなすのはとてつもない…すごさですし、今回の舞台を経て、本当にさすがだと尊敬しました。
聞くところによると、今回の舞台で僕を知ってくださった宝塚さんのファンの方が、THE RAMPAGEのライブに来てくださっているそうなんです。興味を持っていただいたことに、すごくうれしくなりました。
2024.06.08(土)
文=赤山恭子