國本 そうです。だから僕は『虎に翼』は、「日本国憲法97条のドラマ化」だと思っているんです。
――憲法のドラマ化?
國本 97条には「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」とあります。まさにこの「多年にわたる自由獲得の努力」の部分を描いているんだと思います。
しかも主人公の寅子は弁護士になって歴史に名前を残したけど、自由を求めて戦ったものの押しつぶされてしまった人たちも多い。でも憲法97条には、そうやって殴り殺されて屍になった名もなき人たちのこともリスペクトしなさいよ、と書いている。それが『虎に翼』の中で、苦境に置かれた女性やホームレスなど、無名の人たちが何度も登場するところに示されています。
こんなに深く日本国憲法の理念を理解したドラマは見たことが無くて、毎回のように「なんなんだこれは!」と驚きながら見ています。
〈寅子の言い方が「法律は…」から「法は…」に変わる深い意味 現役弁護士が感動した、寅子の視点が変わる瞬間〉へ続く
2024.05.24(金)
文=田幸和歌子