リプロダクティブ・ヘルス/ライツを知る3つのKeyword
#01 不同意性交等罪
被害者が「同意しない意思を形成し、表明や全うすることが困難な状態」で性交等を行う罪のこと。2023年7月13日に施行。
「『強制性交等罪』『準強制性交等罪』が統合されて、『不同意性交等罪』になりました。性交同意年齢が13歳から16歳に引き上げられたのもすごく大きなニュースです。男性も女性も大切なのは、自分の体の主権は自分にあり、他人にも一人ひとりの主権があると認識することだと思います。今後、積極的同意でなければ同意でない、というカルチャーが形成されていくことを期待しています」
#02 卵子凍結の助成
2023年9月、東京都は都在住の18~39歳(採卵実施日における年齢)の女性を対象に、最大30万円の助成をすると発表した。
「助成を受けるには、都が開催する説明会への参加、凍結卵子の保管更新時の調査協力などの条件があるものの、オンライン説明会に約7300人が応募するなど、反響の大きさが話題にもなりました。現在、卵子の時間を止める技術は卵子凍結しかなく、高齢不妊に抗う一つの方法としてはありだとは思います。けれど、必ず妊娠に繋がるものではないという不確かさを理解しておく必要はあるでしょう」
#03 生理休暇
雇用形態を問わず、生理日の就業が著しく困難な時は休暇を請求できることが労働基準法の第68条で定められている。
「生理休暇の取得率は1%程度と低く、無給の会社が多いようです。ただ、生理休暇を取得できる場合でも、そこがゴールではありません。休みたくなるほどつらい生理痛の場合、子宮内膜症などの病気が原因の場合もあるので、その生理休暇を受診のために使っていただきたい。生理痛は低用量ピルの服用で軽減できるケースが多く、ピルはいくつかの種類から選べるので、気負わず相談してください」
●お話を聞いたのは……
産婦人科医 宋美玄先生
医学博士・性科学者。丸の内の森レディースクリニック院長。2児の母。子育てと産婦人科医を両立しながらメディアにも露出して、セックスや女性の性、妊娠などについて女性の立場から積極的な啓蒙活動を行っている。
Column
私たちの体を守りケアする
フェム・ヘルス研究室
女性の心身の仕組みを理解して、快適に暮らすめための連載。「フェムテック」アイテムの紹介をはじめ、PMS、月経、更年期などの女性のしんどさを和らげて、生活の質を上げる方法を考えます。
2024.06.01(土)
文=今富夕起
写真=深野未季、アフロ