台湾産の素材を用いた、調味料や地酒などがずらり
台湾北西部に位置する新竹市。台北からは特急・自強號で約1時間10分の距離にあり、日帰り旅行におすすめの都市です。ハイテク産業都市のイメージが強い新竹ですが、駅周辺には日本統治時代の建築物も数多く見られ、古き良き風情に包まれています。
新竹で注目を集めるのが、2024年3月に正式オープンした複合施設「或者新州屋」です。ここは日本統治時代の1934年に建てられた百貨店「新州屋」の建物を再利用しています。
建物は長らく放置され、廃墟のようになっていましたが、3年前から修復作業が進められていました。その際、文化財保護の観点から、できるだけ本来のものを残す形でリノベーションされました。現在はモダンだった頃の雰囲気が再現されています。
運営を手がけるのは新竹を拠点にするライフスタイルブランド「或者」。創業者の陳添順さんはかつてIT企業の経営者でしたが、数年前に転身し、現在は「故郷の魅力をより多くの人たちに伝えたい」と願い、地域創生に尽力している人物です。
ちなみに、この建物はかつて新竹で一番の高さを誇り、シンボル的存在だったといいます。新州屋の創始者のご子息、戴吳傳さんが東京を訪れた際、フランク・ロイド・ライトが設計した旧帝国ホテルからインスピレーションを受け、デザインを指示したとのこと。90年を経た現在も、変わらない優美さを誇ります。
なお、リノベーション後の室内デザインは「硬是設計」と「水色設計」という2つの新進気鋭のデザインブランドが共同で手がけています。
館内は「地場産品、料理、文化交流」をキーワードに、新竹やその他の地域の魅力を発信するスポットとなっています。
1階のショップでは台湾産クラフトジンやワインといった地酒、台湾ならではの素材を用いた調味料や特製タレ、さらにビーフンといった新竹名物も販売。2階のビストロでは地場産品を用いた料理やカクテル、スイーツを提供。3階にはクッキングスタジオや食に関する書籍を扱った書店があり、4階はイベントスペースになっています。
多様な楽しみが詰まった或者新州屋ですが、次ページからは1階のショップで購入できる商品を紹介します。過去と現在が交差する建物で、とっておきの買い物を楽しんでみてください。
2024.05.10(金)
文・撮影=片倉真理