この記事の連載

皆口さんが重要視するホラーの要

――ビッグネームが集結した本作ですが、制作時にクリエイター同士のこだわりがぶつかることはありましたか。

大森 終始和やかでしたよね。やりたいことの方向性が近かったのでしょう。実際に、近藤監督とは「雪山での撮影も実現させたいですね」と話しました。雪山って怪談的な文脈で見ると日常とは切り離された異空間なのですが、そんな場所で撮ったらどんな作品になるのかと盛り上がりました。

皆口 撮影現場を仕切ってくれた寺内監督の手腕も印象的でしたね。フェイクドキュメンタリーでは“演技に見えない演技”が重要なんですが、この塩梅を言語化するのは難しいんです。出演いただいたフリーアナウンサーの安東弘樹さんやお笑いコンビ・ラランドのサーヤさんはこうした作品は初めてでしたが、寺内監督は彼らの演技に具体的な指示をほんの少し足すだけでその“演技感”を取ってしまう。心霊ドキュメンタリー作品などで“生の空気”を数多く撮ってきた流石の腕前でした。

――背筋さんの小説「近畿地方のある場所について」や、雨穴さんの書籍とその映画化作品である「変な家」など、昨今は“読者による考察要素”もホラートレンドのひとつです。こうした要素は意識しましたか。

皆口 自分は天邪鬼なので世間でウケた要素は取り入れませんでした(笑)。ファンの方が熱心に考察してくれている「フェイクドキュメンタリーQ」も、実は考察要素よりも“生理的に怖い表現の追求”が念頭にあります。考察できる余白と疑問の答えも用意していますが、これはあくまでも“余白があった方が怖い”から。

 もちろん、例に挙げていただいた作品も考察だけで成り立つとは思いませんが、こうした要素だけが評価されて「考察しなかったらこの作品をわかっていないよね」みたいな風潮が加速するのは違うのかなぁ、と。なので、本作はあまり構えずに怖がることができる作りになっていますよ。

TXQ FICTION「イシナガキクエを探しています(4)」配信決定のお知らせ

TXQ FICTION「イシナガキクエを探しています(4)」を5月24日(金)よる8時よりTVerにて配信することが決定しました。
放送中X(旧Twitter)で日本トレンド1位になるなど、大きな反響を呼んだ「イシナガキクエを探しています」の特別編となる第4回を配信します。
イシナガキクエに関して追加で判明した情報を、しかるべきタイミングが来ましたので、お伝えします。
諸事情により配信のみとなります。放送はございません。

≪スタッフコメント≫
■プロデューサー 大森時生(テレビ東京)
引き続きフィクションです。

■皆口大地
イシナガキクエの結末を見届けて下さい。

≪配信概要≫
【タイトル】  TXQ FICTION「イシナガキクエを探しています(4)」
【配信日時】 2024年5月24日(金)よる8時
【配信情報】
広告付き無料配信サービス「ネットもテレ東」(テレ東 HP、TVer)にて配信!

▶︎TVer:https://tver.jp/series/srog0v9atu

動画配信サービス「U-NEXT」では5月26日(日)深夜24時から見放題配信
▶︎U-NEXT :https://t.unext.jp/r/tv-tokyo_pr

「TXQ FICTION『イシナガキクエを探しています(1)(2)(3)』」「Aマッソのがんばれ奥様ッソ」「Raiken Nippon Hair」「このテープもってないですか?」「SIX HACK」「祓除」は、TVer・U-NEXTで配信中

TVerでは「ホラー・都市伝説集めました。」特集内にて期間限定で無料配信中
▶TVer:https://tver.jp/specials/horror/mockumentary

後篇に続く

TXQ FICTION「イシナガキクエを探しています」

第2回は5/10(金)深夜1時53分放送(暦上は11日)
第1回は広告付き無料配信サービス「ネットもテレ東」(TVer)にて見逃し配信中。
https://tver.jp/episodes/epfy61qq2z

次の話を読む皆口大地「傷跡をちょんちょんと触るようにホラーに興味を…」ホラー嫌いの少年が「TXQ FICTION」を作るまで

2024.05.07(火)
文=むくろ幽介
写真=細田 忠