「西武池袋線に『肉そば』ブーム到来か?」という記事を先日書いた。すると立ち食いそば愛好家の先達から「西武線の肉そばといえば所沢駅の狭山そば、そして上井草にある新店をお忘れではなかろうか。しかもこの店、有名な元プロボクサーが経営する店だとか。一刻も早い訪問を」という出動命令のようなメッセージが届いた。

 さっそく東京で大雪が降った翌日の2024年2月6日、上井草駅近くにある新店「とらや」を訪れることにした。

西武新宿線沿線に久々に誕生

 西武新宿線沿線の立ち食いそば屋はここ10年程でほとんど消滅した。元気に営業しているのは下落合にある2014年にオープンした「伊藤松吉商店」くらいだろう。上井草の「とらや」は2023年12月12日(ワンツーワンツーの日だそうだ)にオープンした久しぶりの本格的立ち食いそば屋である。

 西武新宿線高田馬場駅から急行を乗り継いで15分、各駅でも20分程で上井草に到着する。新宿寄りにある改札を出てすぐ左へ行くと踏切がある十字路があって、その角地に「そばうどん とらや」は営業していた。駅から30秒というすごく便利な立地である。黄色い看板が目印だ。

コの字カウンターの理想的な立ち食いそば屋

 入店すると店長の立木規雄さんが笑顔で迎えてくれた。お店はウッディなデザインで、立ち飲み酒場でみるような完璧なコの字カウンターである。コの字の奥が厨房という理想的なレイアウトだ。

 

 立木店長に人気メニューを尋ねてみると、自家製のかき揚げがのった「天ぷらそば」や「天玉そば」は王道の人気メニュー、細切りのネギと鶏肉をラー油で味付けした「ピリ辛鶏ネギそば」、たっぷりの豚肉がのった「肉とらそば」は常連に人気だという。そこで「肉とらそば」に「ほうれん草」のトッピングを注文することにした。

オーナーは有名プロボクサーだった

 ところで、店のオーナーの大嶋宏成さんは有名なプロボクサーだった。1997年7月21日にデビューして以来、日本ランキング1位まで上りつめた達人だ。27戦21勝(13KO勝)5敗1分の見事な成績を残した。その生い立ちや雄姿に共感を覚えたファンも多く、2005年に引退するまで、いや引退後も記憶に残る大人気ボクサーだった。

2024.02.16(金)
文=坂崎仁紀