親が大衆そば屋をやっていて、子供が店を継いだという話はよく耳にする。今回はその逆の話である。しかも妹が「お兄ちゃん、そば屋をイチからやろうよ」と話を持ちかけ兄も決意。そして母も誘ったという稀なストーリーである。

 そんな店が東京板橋区の都営地下鉄三田線板橋区役所前駅からほど近い閑静な一角で、今年4月24日にオープンした。「蕎麦食堂 いけち」である。さっそく訪問してみることにした。

板橋区役所前駅から1分ほど

 土曜の午後3時過ぎ、板橋区役所前駅に1年ぶりに降り立つ。A2出口から地上に出て旧中山道を左に見ながら、右に進んでいく。すぐにY字路があるので、左側に進むと四ッ又公園が現れ、その路地に「蕎麦食堂 いけち」はあった。1分もかからない立地だが、週末ともなれば閑静な雰囲気である。

 店は二面ガラス張りで、店前にはまだ開店祝いの贈り花がたくさん飾られている。入口上にはおススメメニューの写真の他に「全品お持ち帰り出来ます」、「ドリンクのみでもOK!」と記されている。

 入店すると「いらっしゃいませー」という大きな挨拶とともに店長の池田晃久さんが笑顔で迎えてくれた。お店は池田店長と妹の恵さん、そしてお母さんのひとみさんの3人、あと元気で明るい女性スタッフ2人、合計5人で切り盛りしている。

 店は結構広い。4人テーブルが2つ、2人テーブルが3つ、カウンターが6席と全部で20席。訪問時は週末の午後ということもあり、お酒を飲みながら町内会の話題で盛り上がるメンバーもいてなかなかよい雰囲気である。

「土曜は静かです。でも平日は隣が運転免許証更新事務所、前が板橋警察所なので結構人通りがあります」と池田店長。

 

まず「かき揚げ」と「選べるぷち丼セット」を注文

 さっそくおススメメニューなどを訊いてみると、天ぷらは注文後に揚げているので「かき揚げ」(130円)、それとミニより小さいどんぶりが付いた「選べるぷち丼セット」(570円)が人気だというので、注文してみることにした。ぷち丼は「ぷちかつ丼」「ぷちカレー」「ぷちとろろ丼」「ぷち牛丼」の4つから1つを選ぶことができる。

2023.06.11(日)
文=坂崎仁紀