わからないことは素直にわからないと伝えて、いろんな方々に助けてもらおう精神で、実際に周りの方に支えていただいたので、本当に感謝しかありません。

 ただ、いま考えると「ああすればよかった」と思うことも多くて悔しいですね。というのも、アイドルのマネジメントやコンサルティング関連の資料作成など、“食べるため”の他の仕事をしながら配給・宣伝に取り組まざるをえなかったんです。私の時間すべてを『ストールンプリンセス』に注げなかったというのは後悔の一つですね。

 

「今のところ興行収入が目標値に届いていないので…」

——無事に公開され、粉川さんとしてはやっと落ち着いたという状況ですか?

粉川 いや、まだまだですね。

 完成披露試写会のときに満席だったために期待値が上がりすぎてしまい「次はどういった事業を展開しようかな」「資金調達をしてもっと大きいことをやってみたいな」といろいろ妄想していたのですが、今のところ興行収入が自分の中での目標値に届いていないので、ここからどうやったら観てくださる方が増えるのか、といったことばかり考えています。1日の興行収入の結果が毎朝9時半に届くんですが、そのたびに一喜一憂……。今はとにかく興行収入額を目標値にどれだけ近づけられるかが課題ですね。

 ただ、友人の子どもがハマって「もう1回観てくる」と言ってくれたり、お金とは別の充実感もあります。もともと子どもに観てほしいと思っていたので、ストーリーやキャラクターを好きになってくれたり、絵を描いてくれたりしている子どもがいると、やっぱりうれしいですね。

——クラウドファンディングを始めたころはつらくて泣くこともあったとおっしゃっていましたが、今はそういったことはないですか?

粉川 思い通りにいっていないぶん、つらい気持ちはありますが、「目の前のことをやらなきゃ!」という状況なので、泣いている暇はないですね。まだ上映は続いていますし、11月17日公開の『メカバース:少年とロボット(以下、メカバース)』という映画の配給と宣伝も担当しているので、まだまだ落ち着けません。

2023.12.17(日)