睡眠負債を減らす方法
では、個人にとって必要な睡眠時間はどれくらいなのか。最適とされる7時間だと考えていいのだろうか。
「先に述べたように、どれだけの睡眠時間が必要かは、遺伝子によって異なります。つまり、人によって違うということです。睡眠負債を減らすためには『自分で実験しながら必要な睡眠量を把握すること』が必要になります」
日常生活の中で「寝不足」の人が睡眠負債を解消する手法は、次のようなものだ。
(1)まず平日と休日の就寝・起床時間をほぼ同じにする(翌日が休みだからといって、夜更かしをしない)。
(2)就寝時間を普段より30分早める(仕事などで起床時間を動かせない場合)。
(3)その睡眠を5日間から1週間程度続ける。
(4)今までよりも体の調子が良いと感じるか、仕事などのパフォーマンスが向上したのかを確かめる。
(5)次にもう30分就寝を早めてみて、体の調子を見る。
(6)これで十分だという時点が理想的な睡眠時間である。
寝不足のサイン
この実験には、最大1カ月ほどかかる。ポイントは、自分では十分に睡眠をとれていると思っていても、じつはそれが正しいとは限らないということだ。人はなかなか自分の睡眠に敏感になれないということだろう。
「たとえば、日中に眠気を感じる人の多くは睡眠不足です。本当にその人にとって最適な睡眠時間が守れると、日中眠くならないし、体調も良くなって、表情も変わってくる。これまでいかに、もやっとした世界で生きていたかわかるはずです。そうすると自身の生活が充実してくるのが実感できるでしょう」
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2023.11.25(土)
文=河合香織