日本茶はもちろん、コーヒーとも合うきんつば

 きんつばに使っているのは、北海道産の小豆、ザラメ糖に、木村さんの出身地である福井県若狭町の瓜割の水。

 「小豆を炊くのに、小さい頃から汲んで飲んでいたのと同じ、福井県の天然水を取り寄せて使っています。使う水で、餡のまろやかさが変わると思うので」と木村さん。

 「あんチョコ」以外は、食べる時にオーブントースターかフライパンで1、2分温めるのがオススメ。餡がほっくり、より小豆の風味が際立ち、皮がもっちりして、きんつばらしくおいしく食べられます。日本茶はもちろん、コーヒーとも好相性。

 きんつばの他、夏は「水ようかん」や「アイス最中」も販売。冬に向け、「どらやきを試作中です」と木村さんはにっこり。

 漠然と「いつか自分のお店を持ちたい」と思っていた木村さんは、ある日、大阪の有名店のきんつばを食べて衝撃を受けたと言います。

「さっぱり軽やかな後口で、“きんつば=甘くてどっしりした和菓子”というイメージがくつがえりました。もともとお菓子作りが大好きだったこともあって研究心に火がつき、まずはあんこを作ってみようと」

 他の和菓子屋さんのお菓子をいろいろと食べては餡を試作し、焼き方やサイズを工夫して、とやっているうちに、きんつば作りにすっかりはまってしまいます。腕試しでマルシェに出店するとよく売れ、次第に自信がついて、2022年11月、とうとう自分のお店をオープン。「別の仕事を持っているので、土・日・月曜と週3日だけの営業なんです」と、木村さん。

「好きなことだから、他にない味などいろいろ工夫しながら続けられる。一人でやっているから、値段も安く抑えられる。小さい店のまま、長く続けたい」

 普段着でちょこっと買いにいく、神社の向かいの小さな、こだわりのきんつば専門店。手作りのおやつのお店は、いつまでも変わらずに、ずっとあり続けてほしいものです。

きんつば へい

所在地 大阪市阿倍野区王子町3-2-20
電話番号 なし
Instagram @hei_osaka

Column

そおだよおこの関西おいしい、おやつ紀行

生まれも育ちも神戸の生粋の神戸っ子で、長年の関西での取材経験からおいしいお店を知り尽くしている、ライターのそおだよおこさんが、関西の「今、食べてほしい!」というおやつを紹介します。

2023.10.08(日)
文・撮影=そおだよおこ
一部写真提供=きんつばへい