JR山陽本線、山陽電車の塩屋駅から北へ歩くこと約5分。塩屋谷川沿いにある「ロージーズベーカリー」は、ストライプのテントとユニオンジャックが目を引く可愛いお店。ドアのマークには「英国菓子専門店」「british cakes & scones」とあり、店にはスコーンや焼き菓子はもちろん、イギリス製のジャムや紅茶がさりげなく並んでいます。甘く香ばしい匂いに包まれてお菓子選びをするのは、とても楽しい時間。

 お店のオープンは2021年6月。昭和初期に外国人向けの別荘地として開発されて「ジェームス山」と呼ばれた塩屋の街らしく、当初は近辺に住む外国人客がほとんどだったそうですが、現在は、週3日、12時に開くお店を目指して、遠方からわざわざ訪れる人も多いのだとか。

 お店に並ぶお菓子をご紹介しましょう。

 まずは、人気のスコーン。定番の「トラディショナルスコーン」以外は、色々な種類が登場するそうなので、それもまた楽しみ。取材時は、以下の4種類でした。

 「トラディショナルスコーン」は、バターと卵をたっぷり使い、外はサクッ、中はふんわりと焼き上げられています。半分に割り、ジャムやクリームをつけて食べれば、口いっぱいに香ばしさとまろやかな美味しさが広がります。

 生地をミルクティーでこねている「ミルクティースコーン」は、優しいミルクの風味と紅茶の香り。紅茶好きにはたまりません。

 「赤たまねぎと英国産チェダーチーズ」は、軽くトーストしてバターをつけて味わいたい。むっちり、風味豊かで、ワインやビールにぴったり。

 「ブラックカラントスコーン」は、フルーティーな味わい。ミセスラビットの干しぶどうパンをイメージしたというピーターラビットにちなんだ一品です。

 どれも甘さ控えめ。持ち帰ったら、翌日以降、オーブンなどで軽く加熱して食べるのがオススメ。

 「ヴィクトリアケーキ」は、ヴィクトリア女王が愛した、イギリスで最も親しまれているケーキ。スポンジ生地に、バタークリームとラズベリージャムをサンドしてあり、シンプルですが虜になる美味しさ。紅茶によく合います。

 「にんじんとくるみのケーキ」こと、キャロットケーキは、イギリスで中世時代から食べられていたという伝統菓子。砂糖が貴重だった時代に、甘いにんじんで代用したのだとか。シナモンを効かせ、くるみをアクセントにしてあります。

 取材時は、ピーターラビットにちなんだ「うさぎクッキー付き」のバージョンもありました。

 「ヴィクトリアケーキ」「キャロットケーキ」と並んでイギリスで人気があるのが「レモンドリズルケーキ」。drizzleとは、細雨、霧雨(がしとしと降る)という意味で、シロップなどを雨を降らせるようにして染み込ませた、しっとりケーキです。さわやかなレモンの酸味と優しい甘さの、これもまた紅茶によく合う一品。

 アメリカ発祥の「ブラウニー」は、イギリスでも人気のチョコレートケーキ。スコットランドや北部イングランドでは、茶色のボロをまとった小妖精のことでもあり、家人のいない間に家事を済ませたりするのだそう。お菓子の方のブラウニーは、コク深いチョコの芳醇な味わいが楽しめます。

2023.06.11(日)
文・撮影=そおだよおこ