神戸・北野町の急な坂道に、2008年にオープンした「アクアレール」は、西洋保存食専門店。小さなお店の棚には、色とりどりの瓶詰がぎっしり。ジャム、コンポート、ピクルス、チャツネ、サルサ、ケチャップ……。どれも、店主・太田麗子さんが、手間暇かけて丁寧に作ったもの。季節の果物を使ったジャムやコンポートは、「生よりおいしく」がモットー。フランス料理のソースと同じように、素材の持ち味を凝縮したおいしさが楽しめます。季節と共に、また訪れる度に種類が次々に変わり、意外なフルーツ同士やスパイスとの組み合わせもあり、どれにしようかといつも迷ったものでした。
そんな大好きなお店が、2019年に西宮・甲子園口に移転していたのを知ったのは、ごく最近。訪れると、新たにカップ入りのスイーツとビッグサイズのスコーンが登場していました。
「瓶詰類は北野町のお店の時から変わらず、果物をはじめ、全ての材料を厳選。ジャムはペクチンを使用していません。砂糖は甜菜糖で、ごく少量使用。フルーツはできるだけ形を残して、ゴロゴロ入れています(笑)」と、太田さんは言います。
さらに、「お菓子は、全て国産小麦粉で。バターも国産。日本よりも厳しい規制があるフランス産の食材なども使っています」。子供を持つ母親でもあり、北野町のお店の頃から材料にこだわる太田さんならではの、安心して食べられるスイーツいろいろをご紹介しましょう。
いちごと生クリームとスポンジ生地がカップに詰まった「ショートケーキカップ」。甘さ控えめで、いちごの甘酸っぱさが引き立ちます。おいしいおやつをちょっとだけ食べたい時にぴったり。
「カシスマロンケーキ」は、モンブランにカシスソースをプラス。底はアールグレイ紅茶のクラムで、ほのかに香るのはラム酒。食後のデザートにオススメです。
「ブラックフォレストケーキカップ」は、チョコスポンジ×ダークチェリー×生クリーム。ドイツのケーキをイメージさせる大人向けのプチケーキ。自家製ダークチェリーのコンポートがおいしい。
ココナッツミルクプリン「のーこー」は、ココナッツの風味が広がり、名前どおりの濃厚な味わい。ホッとする優しい甘さでクセになります。
「チョコレートパンナコッタ」は、チョコレート味のパンナコッタに自家製チェリーソースの風味をプラスしたオシャレな一品。まろやかなチョコ味で、誰もが好きになる味です。
「アップサイドダウンケーキ」は、古典的な作り方のアップサイドダウンケーキのパイナップルバージョン。カラメル化したパイナップルのほろ苦い風味に、ラムソースを添えて。
「カップスタイルにしたのは、新型コロナウイルスの感染拡大を考えてのことでもありますが、公園などで気軽に食べてほしいから」と太田さん。
スコーンは15種類余り。大人気で、早い時間に売り切れてしまうことも多いのだそう。食べると、外はカリッとした歯応えで、中はふんわり、むっちり。「ありとあらゆるといっていいくらい、たくさんの国産小麦粉を取り寄せ、ブレンドもして、200回余り試作しました。“月の魔法”というブランド名の小麦粉に、別の国産小麦粉をブレンドして、ようやく好みのスコーンが完成したんです」。
「プレーン」は、手で割ると、芳醇なバターの香りが広がります。生クリームやクリームチーズ、もしくは太田さん自家製のサワークリームとジャムやマーマレードをたっぷりつけて食べると、リッチなケーキのよう。
「ドライいちじく」は、いちじくがたくさん入っていて、口の中にいちじくの風味が広がります。「いちじくミルクティ」は、さらに生地に紅茶の風味がプラスされて、贅沢な味わい。
シナモンの香りが広がる「シナモンロール風」、ピーカンナッツの食感が楽しい「メープルピーカンナッツ」は、アメリカを感じる味。
「ピーナッツバター」は、太田さんこだわりのピーナッツと塩だけで作られたピーナッツバターを使用しており、甘くなく、スッキリ食べられます。
他にも「あずき」や「お抹茶あずき」、「ダブルチョコレート」など、種類豊富。どれもボリュームがあるので、朝食にもオススメです。
2023.03.12(日)
文・撮影=そおだよおこ