![素朴でおいしそうなお菓子ばかり。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/8/1280wm/img_786933955d47c0c93f9a7d43f9185c8f146057.jpg)
洋菓子の街として知られる神戸。中心街にある有名店が賑わうのはもちろん、周辺の住宅街にもおいしいと評判のお店が数多くあり、それぞれのファンに愛されています。
そんな神戸の街に、2022年4月、またひとつ、小さなお菓子屋さんがオープンしました。神戸高速鉄道・西元町駅の北にある商店街・メルカロード宇治川を抜けて東へ曲がった所、やまだまりさんが営む「菓子屋マツリカ」です。
お店は、毎週金曜、土曜の12時から17時頃までのみの営業。ポツリポツリと来店するお客に、やまださんが笑顔で接客、自身が作るお菓子の魅力をていねいに伝えて販売しています。
![店主のやまだまりさん。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/a/0/1280wm/img_a0e9827e1c3cda6dfb3b8547db531423109447.jpg)
やまださんが作る焼き菓子をご紹介しましょう。
一番人気は「はちみつカステラ」。平飼いでのびのび育った鶏の有精卵、神戸の街の背後にそびえる六甲山系で採取された「いなだ養蜂園」の森の蜂蜜を使っています。
「カステラは、卵、蜂蜜、砂糖、小麦粉だけで作るお菓子です。だからこそ、素材が大事」とやまださん。むっちりと弾力があるのに、食べるとしっとり、滋味深い味わい。卵と蜂蜜の優しい香りに、幸せな気分になれます。紅茶はもちろん、日本茶や中国茶との相性も抜群。
![人気の定番商品「はちみつカステラ」1個360円。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/1280wm/img_6339daf883df6cda4f598226511b1788100192.jpg)
ケーキはその時々にある材料で作られ、季節らしいものが登場します。「良い材料があるから、私らしいお菓子が作れます」とやまださんはにっこり。
淡路島産レモンを丸ごと使った「ケイク・シトロン」は、甘酸っぱく、レモンのさわやかな香りが口いっぱいに広がります。
「紅玉のタルト」は、シロップを打ちながら、焦げ目がつくほどしっかり焼き込まれています。サクサクの香ばしいタルト生地と紅玉りんごの酸味が合わさって、見かけ以上に優雅な味わい。
「柿のパイ」は、ダマンドのラム酒がほんのり香り、柿の風味を引き立てます。パイ生地のサクサク食感が楽しい。
「ショコラケイク」は、料理人・太田哲雄さんこだわりのアマゾンカカオを使用。「カカオが果実だと実感しました」とやまださんが言う通り、カカオのコク深い香り、後口の酸味が印象的。甘くない大人のためのチョコレート菓子です。
「私はスパイスが苦手なので、ほとんどスパイスは使いません。素材の味を上手く出せたらいいなと、シンプルに作っています」。
![ケーキ4種類。右上から、時計回りで「ケイク・シトロン」400円、「紅玉のタルト」420円、「柿のパイ」380円、「ショコラケイク」430円。その日何があるかは、当日のお楽しみ(インスタで紹介されます)。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/b/1/1280wm/img_b11e6d393894437799427578aecfe34c164950.jpg)
ほろ苦いキャラメルの風味がソテーしたりんごに絡む「キャラメルりんごケーク」、有機栽培のバナナを生地にたっぷり練り込んだ「バナナとくるみのケーク」など、どれも口溶けがとても良い。さつまいもやかぼちゃも、タルトやケーキ、プリンなどにして供しています。
「農家さんの苦労を知っているので、素材を余すことなく大切に使っています。たくさんの方においしく食べていただきたいんです」。
![ケーキ2種類。右「キャラメルりんごケイク」380円、左「バナナとくるみのケイク」380円。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/9/1280wm/img_49e99009650bb9d9bbc815fbf48d0012104387.jpg)
クッキーもこだわりたっぷり。
挽きたての神戸産小麦の全粒粉を使った「全粒粉サブレ」は、ザクザク食感と小麦の香ばしい風味。
「jamクッキー」のジャムは、神戸市西区・竹内さんの「おいCベリー」を使った自家製。甘酸っぱいアクセントが効いています。季節によってジャムは色々変わるのだそう。
「オートミールクッキー(カカオ)」は、太田哲雄さんの有機栽培アマゾンカカオが香り立ち、噛みしめるほど味わい深い。
![クッキー3種類。上から時計回りで「オートミールクッキー(カカオ)」180円、「全粒粉サブレ」3個290円、「jamクッキー」5個350円。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/e/a/1280wm/img_ea3f9cb55d63863a9446ae3f62d67c41123519.jpg)
「できるだけ、その日の焼きたてを出したい」と言うやまださん。スコーンも、当日、1個1個手で丸めて焼き上げています。
神戸産の全粒粉を使った「全粒粉スコーン」は、デコボコ、コロンとした形が特徴で、外はカリッ、中はふんわり。翌日でも、リベイクすると香ばしい小麦の香りが際立ちます。
「プレーン」、「チョコくるみ」が定番で、季節商品として「いちぢくと紅茶」など、色々な種類があります。
![全粒粉スコーン3種類。上から時計回りで「プレーン」1個270円、「チョコくるみ」300円、「いちじくと紅茶」320円。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/5/1280wm/img_951631600585f7df71ab1dfe9bb53b5c137567.jpg)
![全粒粉スコーンは、毎朝焼いて、ガラス瓶に。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/d/1280wm/img_4de1b44cf837d12e332c2394b74be357119760.jpg)
やまださんが「マツリカ」としてマルシェやイベントに参加するようになったのは、2016年。
「大学卒業後、会社員をしていたのですが、好きだったカフェの仕事をしてみたいと、『アフターヌーンティー・ティールーム』で働き始めたのがきっかけ」。
その後、兵庫県北部の道の駅を手伝って、たくさんの生産者に出会い、さらに、ヘルシーなデリやスイーツを置く神戸・元町の食料品店「ネイバーフード」で働きます。
「たくさんの良い物に出合い、自然にそれらを使ったものづくりをするようになりました」。
![「柿をたくさんもらったのでパイにして、お値段も安く販売しました」とやまださん。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/a/0/1280wm/img_a09f1019a3335497e3026e92ac88c059232817.jpg)
やまださんは「実は、喫茶店がやりたかった」と、お店にテーブル席を設け、時折、イートインもしています。
ひと手間かけたプレートで出される焼き菓子を、おいしいドリンクと楽しむことができる日もあります。
![余裕のある日には、14時頃からイートインも。美味しいドリンクと、ひと手間かけたお菓子を供する。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/d/6/1280wm/img_d67275cf709d70b050057b48500f5aa2142866.jpg)
![手で1個ずつ丸めて作る全粒粉スコーン。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/4/1280wm/img_5488c4f63b18e0976f9ce315805013ae637643.jpg)
「スコーンは、神戸産の小麦粉を少量ずつ挽いてもらって使っています。挽きたてを焼きたてで出せるのはとても幸せ。焼きたてのスコーンを食べていただく日もあってもいいかな」と、やまださんは、自店を持ってから夢が広がっています。
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Column
そおだよおこの関西おいしい、おやつ紀行
生まれも育ちも神戸の生粋の神戸っ子で、長年の関西での取材経験からおいしいお店を知り尽くしている、ライターのそおだよおこさんが、関西の「今、食べてほしい!」というおやつを紹介します。
2022.12.11(日)
文・撮影=そおだよおこ