2022年、あんドーナツ、バターサンド、シュークリームなど、お菓子の専門店が次々オープンした兵庫県芦屋市。スイーツの激戦区の度合いがさらに進んでいるようです。
そんな芦屋で、ワインを飲む時にぴったりのスイーツを見つけました。その名も「Kork(コルク)」。そう、ワインにつきもののコルク栓の形をしたユニークなクッキーです。
阪急神戸線の芦屋川駅から南西に徒歩約2分。住宅街にあるスイーツ&ワインショップ「KILIG(キリグ)」。ドアを開けると、中央のテーブルの上、小さな「Kork(コルク)」がアンティークの皿に並んでいます。6種類それぞれ、形も色も味も違っていて、全種類食べてみたくなってしまいます。
「plain(プレーン)」は、竹炭パウダー入りの黒い生地にはスペイン産の塩が効かせてあり、メレンゲには宮古島の雪塩。
「onion gratin soup(オニオングラタンスープ)」は、オニオンとサラミを入れた生地の上に、とろけるチーズとフライドオニオン。温めて食べると、まるでレストランのアミューズ。
「ginger bread(ジンジャーブレッド)」は、ジンジャー、シナモン、ナツメグを効かせた生地にカレンツをプラス。ラム酒の香りのアイシングにアラザンを飾っています。
「cacao pistacchio(カカオピスタチオ)」は、ココア生地にカカオニブを加え、ピスタチオ、ラズベリーの粒をリース形にトッピング。
「caramel nuts coffee(キャラメルナッツコーヒー)」は、アーモンドクラッシュをプラスしたコーヒー生地にコーヒーアイシング。トップにはオレンジ風味をまとわせたコーヒーアイシング。トップにはキャラメリゼしたアーモンドを。
「tarte-tatin(タルトタタン)」は、バター生地にドライアップルを入れて、トップはキャラメリゼしています。
「月替わりで6種類。同じ商品名、たとえばplain(プレーン)でも、味わいを変えています。生地も全部違うんですよ」と、お菓子を作る瀧川奈保子さん。ワインショップのスイーツにぴったりの形状・コルク形を思いついたものの、分厚いクッキー生地を、まっすぐに高さを揃えて焼き上げるのはとても難しかったのだとか。
ワインの栓のコルクのような生地は、ひと口噛むと、ザクッ。しっかりした歯ごたえで、噛むほどに口の中にそれぞれの味が広がります。続けてワインを飲むと、風味や香りが一体となってとても楽しい。小さいのに存在感のあるお菓子なのです。
「それぞれに合うワインも提案しています」とオーナーの西馬 崇さん。ワインの輸入と販売を手がける「ラ・グリュー」を営んでおり、朝日ヶ丘町にあるそちらの店舗は、卸売中心のプロ向け。「一般の方が気軽に立ち寄れるワインショップにしたくて、駅近で、ワインに合うスイーツも置いて、2022年9月にオープンしました。セラーには、かわいいラベルやアートっぽいラベルのナチュラルワインを色々揃えています」。
店内のカウンターや表のベンチで、スイーツと一緒にワインを飲むのもOK。テイクアウトして、桜の季節には、すぐそばの芦屋川の河原でピクニックを楽しむのも素敵。
スイーツを作る瀧川さんは、お料理教室やお菓子以外の商品企画にも携わってきた多才な人物。自身も食べることやワインが大好きとあって、毎月の「Kork(コルク)」の試作にも力が入っています。
「コルク」の他、「フィナンシェ」と「サブレ」も。
フィナンシェは、手で持って食べられるようにスティック状に焼き、「気まぐれでもう1種類」と瀧川さんはにっこり。取材時には「チーズとナッツ」があって、これまた、ワインにぴったり。バターの香りが広がり、すうっと消えるような食感だから、ワインだけでなく、コーヒーや紅茶にも合います。
サブレは兵庫県のワイナリーのブドウの搾りかす入り。通常は廃棄処分されてしまうものですが、ワインショップらしいSDGsの取り組みでスイーツに。サクサクした食感で、ブドウの香り、渋みもあり、こちらもワインと好相性。
「ワインに合うよう、色々な味や香りのスイーツを創作するのが楽しい。行列ができるお店ではなくて、毎月のように買いに行くお店にしたいですね」と瀧川さん。
1月は和のイメージの「コルク」を考案。白味噌と柚子の「Plain(プレーン)」に、「黒胡麻と生姜」「黒豆ときなこ」「抹茶ホワイトチョコ」「ちりめん山椒」など、どれももちろんワインにぴったり。日本酒にも合わせてみたい。
次々に登場する、ワインに合う楽しいスイーツに注目です。
sweets & wine shop KILIG(キリグ)
所在地 兵庫県芦屋市月若町8-13 芦屋川商工ビル1F
Instagram @kilig_ashiya
※お店への問い合わせはInstagramのDMにて
Column
そおだよおこの関西おいしい、おやつ紀行
生まれも育ちも神戸の生粋の神戸っ子で、長年の関西での取材経験からおいしいお店を知り尽くしている、ライターのそおだよおこさんが、関西の「今、食べてほしい!」というおやつを紹介します。
2023.01.08(日)
文・撮影=そおだよおこ