この記事の連載

 1981年、尾山台に誕生したオーボンヴュータン。以来、実に40年以上にわたり、伝統的なフランス菓子を作りつづけています。

 唯一無二のおいしさと、ひとつひとつのお菓子が持つストーリー。79歳の今日も元気に厨房に立つ河田勝彦シェフが語るフランス伝統の焼き菓子のおいしさとは?

 【毎日オーボンヴュータン】でお会いしましょう!


#75 プティ・フール・ドゥミ・セック(PETITS FOURS DEMI-SECS)

 「プティ・フールは、味や形、色がアソートになってこそ意味を成すものです」と語る、河田シェフ。

 #76のプティ・フール・セックに次いでギフトとして人気なのが、このプティ・フール・ドゥミ・セック、つまり、ひと口サイズの半生焼き菓子の詰め合わせです。

 使われている生地は2種類あり、ひとつは、パート・ダマンド・クリュ(アーモンドと砂糖と卵白を合わせ、ローラーで挽いてペースト状にしたもの)をベースとしたパータ・ベニエ。ネチッとした食感とリッチな味わいが魅力です。

 もうひとつは、粉糖をふって焼いたふんわり軽やかな食感のビスキュイ・ア・ラ・キュイエール(卵白と卵黄を別々に泡立ててつくるビスキュイ生地)。これらにさまざまなナッツやジャム、フルーツのコンフィを合わせ、形やデザインも変えて、目にも舌にも楽しいバリエーションが表現されています。

・アナナス…パータ・ベニエにパイナップルのコンフィを混ぜこみ、上にものせて。

・ノワ…クルミ入りのパータ・ベニエに粉糖をふって。

・コンスタンタン…ラム酒漬けのレーズンを混ぜこんだパータ・ベニエを、アプリコットのナパージュ(ジャムのような上がけ)でコーティング。

・アマンド…パータ・ベニエにバトン状アーモンドをぱらり。

・レザン…ラム酒漬けカランツを散りばめたパータ・ベニエ。

・オランジュ…パータ・ベニエにオレンジの皮のコンフィを混ぜこみ、上にものせて。

・スリーズ…アーモンドダイスを表面に散りばめたパータ・ベニエに、スパイス風味のシロップをしみ込ませて、アプリコットのナパージュ(ジャムのような上がけ)をかけ、上にチェリーのコンフィを。

・ポワール…ビスキュイ・ア・ラ・キュイエールに洋ナシのオー・ド・ヴィ(蒸留酒)を加えたアプリコットジャムをサンド。

・アナナス…アプリコットジャムとパイナップルのジャムを混ぜ合わせてラム酒を加え、ビスキュイ・ア・ラ・キュイエールでサンド。

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河田勝彦(かわた かつひこ)さん

1944年東京生まれ。まだ菓子職人がフランスに渡ることが少なかった時代に、8年間フランス各地で修業を積む。1981年に「オーボンヴュータン」を開店。古き良きフランスの伝統を貫き、骨太な菓子で日本のフランス菓子界を牽引し続ける存在だ。

AU BON VIEUX TEMP(オーボンヴュータン)

所在地 東京都世田谷区等々力2-1-3
電話番号 03-3703-8428
営業時間 10:00~17:00
定休日 火・水曜
https://aubonvieuxtemps.jp/

※ラインナップ、価格等は2022年取材当時のものです。

次の話を読む【毎日オーボンヴュータン #76】 不動の人気No.1はクッキー缶 「プティ・フール・セック」

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2023.09.27(水)
文=瀬戸理恵子
撮影=合田昌弘