品のよさは京都だからこそ 餃子食べても気づきまへん
もう一つ、京都の中華を独特なものにしたのが京都ならではのお座敷カルチャーだ。お座敷で接客する芸妓・舞妓さんにとって、においの強い料理はもってのほか。にんにくや多量のねぎなどの薬味類や、油臭くなるようなメニューは人気が出ない。
同時に、もともと出汁を重んじる食文化があるので、脂っこくなく、澄んだ味の中にうまく出汁をきかせて奥行きを出すようになったといわれている。
さらには、形状にも違いが生まれた。
芸妓・舞妓さんは食べるときに大きな口を開けるわけにはいかない。そんなリクエストがあったのか、京都の酢豚や餃子はおちょぼ口でも食べられる小さいサイズになったようだ。
ますます進化する店へ。さあ、中華旅を企画しよう
「こんなんあったらええなぁ」をもとに進化を遂げた京都の中華料理は、もちろん現在も進化中。
カウンターで一斉に始まる高級なコースや、クラフトビール片手に楽しむバルスタイル。はたまた“田舎”に飛び出して自給自足に近いスタイルを確立するお店まで、京都の中華は百花繚乱。
次の京都旅行のアクセントに、「ほかでは食べられない中華」、加えてみませんか?
2023.09.22(金)
文=大嶋律子(Giraffe)、CREA編集部
写真=ハリー中西、前田隆汎