この記事の連載

 「屋根のない美術館」と呼ばれるフィレンツェには、中世のままの美しい街並みが残る。

 レストランやショップは、伝統を大切にしつつ、進取の精神を忘れることはない。今こそフィレンツェへ。この街は、いつだって「今」が一番面白い!

 時代を経ても決して色あせることのない、普遍的な美しさは存在するのだろうか? 古都フィレンツェは、その疑問に対する確固たる答えを与えてくれる。フィレンツェで今注目の4つの宮殿や大聖堂を4回に渡りご紹介。


豪奢な宮殿を埋め尽くす大公の名画コレクション

◆Palazzo Pitti(ピッティ宮)

 18世紀に断絶したメディチ家にとって、最後の居館となった宮殿である。

 1587年、フェルディナンド1世が第3代トスカーナ大公に即位して以降、宮廷として用いられるようになった。

 現在、内部は美術館や博物館として公開されている。

 その中でも必見の空間が、2階にあるパラティーナ美術館だ。約30の展示室の壁面を、歴代大公の収集した絵画が埋め尽くす。

 特に、ルネッサンス三大巨匠の一人、ラファエロのコレクションに関しては世界随一。《大公の聖母》《ヴェールの女》《身重の女の肖像》といった代表作を、まとめて鑑賞することができる。

 ヴェネツィアの大画家、ティツィアーノの作品も充実。その他、フィリッポ・リッピ、ティントレット、ルーベンスなどの傑作が目白押しだ。

 無数のタブローのみならず、天井を彩るフレスコ画も見逃せない。その周囲を飾る彫刻含め、これぞ豪奢の極み。

Palazzo Pitti(ピッティ宮)

所在地 Piazza dei Pitti 1, 50125 Firenze
電話番号 055 294883
営業時間 8:15~18:30
休館日 月曜、1月1日、12月25日
料金 17ユーロ(ピッティ宮内のすべての美術館に入館可能)
https://www.uffizi.it/en/pitti-palace

次の話を読むメディチ・リッカルディ宮 外観からは想像できない 煌びやかな礼拝堂【フィレンツェ】

Column

CREA Traveller

文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。

2023.08.27(日)
文=下井草 秀
撮影=橋本 篤

CREA Traveller 2023 vol.3
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

トスカーナとシチリアで 見つけた幸せの法則 Le splendide stelle d'Italia

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