この記事の連載
◆2位『胚培養士ミズイロ』おかざき真里
人為的に精子と卵子を受精させる―経験に裏打ちされた技術と判断力で命を導く「胚培養士」の仕事を詳らかに描き、話題沸騰。「男性不妊」「高齢出産」「卵子凍結」など、多様なケース下で辣腕を振るう胚培養士・水沢歩の真摯な仕事ぶりに心打たれます。
命を扱う重圧感のもと、超人的な集中力でプロフェッショナルの技を完遂する姿に背筋がのびるのです。一方で、ふんわりとした多幸感に満たされるのは、日頃私たちが実感することの少ない生命の深淵に触れるためかもしれません。
現代人が手にした課題と先端医療について知る〈歓び〉と〈義務〉を存分に受け止めたい。いずれ開示されていくであろう歩の内面、同僚との関係性にも興味をそそられます。
「志を持った主人公の言葉がズシンと響く快作」(編集者・ライター・作家 粟生こずえさん)
「未知のことだらけで、妊娠はして当たり前どころか奇跡に他ならないとあらためて目から鱗」(ライター 井口啓子さん)
粟生こずえ(あおう・こずえ)さん
編集者・ライター・作家
マンガレビュー、マンガ家インタビュー多数。本を読むのが習慣の自称“読鬼”。不定期でブックトークイベントや蔵書を放出する「おもしろ古本市」を開催。
井口啓子(いぐち・けいこ)さん
ライター
雑誌『ミーツ・リージョナル』にてコラム『おんな漫遊記』連載中。昭和の劇画家・上村一夫が好きすぎて展示企画したり、小冊子を作ったりも。
2023.09.07(木)
Text=Kozue Aou
Photographs=Ichisei Hiramatsu
Cooperation=UTUWA,AWABEES