
女性向けセルフプレジャーアイテムブランド「iroha(イロハ)」。女性が性について話すことが、今よりもずっと難しかった11年前に誕生した、日本発のブランドです。ブランド誕生から現在に至るまでの歴史や製品づくりのこだわりなどを、irohaブランドマネジャーの真仲 潤さんに徹底的に取材しました。
女性向けセルフプレジャーアイテムがなかった時代に、先駆けて誕生
――「iroha」が誕生した経緯を教えてください。
真仲さん 2013年3月に誕生し、今年で11年目になります。もともと男性向けのマスターベーションアイテムブランド「TENGA」で会社自体は認知されていましたが、女性向けのアイテムがなかったため、2011年にプロジェクトが始動し、社内でも少数だった女性社員を中心に構成されました。
その当時、欧米では女性向けのセルフプレジャーアイテムがたくさんあり、「自立した女性が使うもの」と認識されていました。一方、日本発のものは全く存在していない状況でした。
当時、アイテムを売ることよりも「女性のセルフプレジャー」を浸透させることを重要視したのですが、まだまだ女性が性的話題を語ること自体がタブーとされる風潮がある時期で、お客様にいかに“自分ごと化”してもらうかが課題となりました。例えば、スキンケアのパックやヘアトリートメントのように、日常のセルフケアのひとつに「セルフプレジャー」があるんだということを認識してほしいと願っていました。

――発売から10年以上経ち、デビュー当時と変わった点はどんなところでしょうか?
真仲さん 当時と比べて、フェムテック・フェムケア市場が拡大し、セルフプレジャーに関してもポジティブにとらえる人が増えてきた印象です。国内外問わず、スタートアップ企業からさまざまなアイテムが発売されていますし、セルフプレジャーのみならず、デリケートゾーンのケアなども一般化しています。
ブランドとしては、10周年を迎えた昨年、ステートメントを「女性らしくを、新しく。」から「LOVE MY COLOR きもちよさを、自分らしく。」と一新しました。セルフプレジャーは、受動的ではなく能動的でありたいという姿勢を示しています。
――ところで、「iroha(イロハ)」というブランド名は、とっても可愛いですよね。由来はなんですか?
真仲さん 日本に昔からある「いろは歌」にインスパイアされました。身近なものであり、和を感じられるという理由です。いろは歌で仮名を学ぶように、「性と向き合い、性を育む」存在として寄り添えたらと考えました。
――最初に発売されたアイテムはなんでしょうか?
真仲さん ブランド名にもなっている「iroha」です。当時のリサーチにより、「使ってみたいけど不安」という声に応え、挿入型ではなく、外側で感じることができる形状になりました。2023年に一度リニューアルしていて、充電の方法やボタンなどの仕様が変更になっています。



2024.11.20(水)
文=増本紀子(alto)
撮影=平松市聖