アンバサダー・水原希子さん就任で、客層がぐっと広がった
――現在、ブランドアンバサダーとして水原希子さんが活動されていますよね。就任のきっかけはなんだったのでしょうか?
真仲さん 2023年の3月、10周年のタイミングで就任していただきました。水原さんは、ブランドローンチの頃からirohaのファンでいてくださったそうで、ご自身の動画でも弊社に取材に来ていただいたり、海外のご友人にプレゼントするために店舗で購入しているといったお話を聞いたりしていたので、お声がけしたところ快諾してくださいました。「今まで勝手にアンバサダーしてました!」とご本人がおっしゃっていました(笑)。
――彼女がアンバサダーになってからの変化はありましたか?
真仲さん 非常に幅広いファン層に支持されている方なので、来店されるお客様がとても増えました。初心者の方も手に取ってくれているという印象ですね。
――一緒に開発したアイテムもあるんですよね?
真仲さん 現在4アイテム販売しています。水原さんとの開発会議では、社内では絶対に出てこないだろう新たな視点でのアイデアをたくさんいただいています。例えば「iroha mai RURI」の振動は、実際に海の中で水原さん自身が聞いたクジラの求愛ソングにインスパイアされています。「多くの人に楽しんでほしい」と、色みはもちろん、質感などもユーザー視点で考えられているのはさすがだと思いますね。
幅広い年代のお客様が来店する常設店は、日本初!
――大阪の大丸梅田店に、常設店があるとお聞きしました。女性向けのセルフプレジャーアイテム単独の店舗というのはとても珍しいと思いますが……。
真仲さん 日本発のセルフプレジャーアイテムブランドとしては日本で唯一です。2018年8月に大丸梅田店でポップアップショップを開設したんです。日本の百貨店初の試みで、多くのメディアにも取り上げられ、13日間で1500人以上のお客様にご来店いただき、売り上げは目標の3倍を達成しました。
弊社のミッションである「性を表通りに 誰もが楽しめるものに変えていく」をまさに体現したのです。その際、店頭に立っていた弊社社員はセルフプレジャーの啓発活動もしていたのですが、お客様からもさまざまなご意見をいただけ、販売以上の価値がありました。その後、2回のポップアップショップを経て、2019年11月に常設店になりました。
――どのような方が来られるのでしょうか?
真仲さん 年齢層は様々で、20代から80代の方もいらっしゃいます。自社ECでは20代後半から30代半ばがメインですので、それに比べるとかなり幅広いですよね。出張のついでに立ち寄る方や、インバウンドのお客様も多数いらっしゃいます。
インバウンドといえば、irohaは2013年から世界展開し、TENGAも含めますと現在は73の国と地域で販売していますが、質感や見た目から、海外の方には「食べ物?」と勘違いされることもあります(笑)。
――常設店以外では、量販店などで販売されているんですよね?
真仲さん そうです。最近では量販店など弊社のアイテムをお取り扱いいただいているお店にカップルやグループでのご来店も多く、間口が広がっています。生理用品コーナーで、セルフプレジャーアイテムとデリケートゾーンケアのアイテムも展開してくれているドラッグストアもあります。
――カップルで一緒に使用できるアイテムもあるんですね。
真仲さん 「iroha SVR」という製品です。SVRはスマートバイブリングの略で、パワフルな振動と多彩なリズムを一緒に楽しめます。もともと2015年から発売している「TENGA SVR」というヒットアイテムがあるのですが、irohaらしく色にこだわりました。
――知らなかったので驚いたのですが、アロマミスト、キャンドルなどもあるんですね。
真仲さん コロナ禍が開発のきっかけです。お家時間が増えたことで、気分をリフレッシュ&リラックスできるアイテムを提供できればと考えたからです。キャンドルはマッサージにも使えます。また、デリケートゾーンケアのアイテムも取り揃えているんですよ。
――性のみならず、生活そのものが豊かになるラインナップですね。今後、ブランドはどのような方向に向かって行くのでしょうか?
真仲さん 製品化するまでに構想から3~4年かけるなど、「本当に使いたくなる」ものをつくってきました。また、海外のアイテムはオーガズム至上主義の傾向が強いですが、irohaはそれだけではなく、セルフプレジャーをリラックスやストレス解消などの目的で使用してみてほしいという思いがあります。自分自身、そしてもちろんパートナーとのコミュニケーションの橋渡し的存在であり続けたいと思っています。
さらに、一人でも二人でも楽しめる、オールジェンダーに向けたアイテムなどの開発を検討中です。今後も多くのお客様に手に取っていただけるブランドを目指します。
お話を聞いたのは…
真仲 潤(まなか じゅん)さん
大学卒業後、出版社等で事業開発・組織開発支援のサービスデザインに携わった後、ジェンダー・セクシュアリティをテーマにしたフィールドワークエッセイ等の執筆活動の傍ら大学院で調査研究活動に従事。2022年4月に入社し、2023年9月より現職。
ベストフェムケア2024
2024.11.20(水)
文=増本紀子(alto)
撮影=平松市聖
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