この記事の連載
「CREA」2023年秋号は、「偏愛の京都」特集です。
コロナ禍を経て初となる国内旅の特集は「偏愛の京都」。リアルな旅に沸く古都の、まだ知らなかったフードシーンやカルチャーを“偏愛”をキーワードにお届けします。京都ならではの和食やアンティークをはじめ、訪れる者には新鮮に映る「京都の中華」、少し足を延ばして訪う大原の日曜市や京丹後のサウナまでコンテンツ満載。次回の京都旅が新鮮なものになること間違いなしの永久保存版です。
CREA 2023年秋号
永久保存版 偏愛の京都
特別定価950円
CREA WEBでは、「CREA」2023年秋号のコンテンツの一部を大公開します!
夜な夜なマンガに夢中になる大人が急増する中、昨年、はじめて開催された「CREA夜ふかしマンガ大賞」。
眠りにつく前の自分だけのひととき、ページをめくるたびに癒され、息を吞み、ときめき、泣いて笑って―。
日中のあれこれを忘れさせ、新しい世界に連れ出してくれる、そんな力のある作品に今年も賞を贈ります。
» 1位『いやはや熱海くん』田沼朝はこちら
» 2位『胚培養士ミズイロ』おかざき真里はこちら
» 3位『クジャクのダンス、誰が見た?』浅見理都はこちら
» 4位『大丈夫倶楽部』井上まいはこちら
» 5位『僕らが恋をしたのは』オノ・ナツメ』はこちら
» 「夜ふかしマンガ大賞2023」6位~10位はこちら
CREA夜ふかしマンガ大賞とは…
マンガ好きの30名の推薦者とCREA編集部員、そして読者の投票により選ばれた「思わず夜ふかしして読みたくなる」そして、「いま、CREA読者に本当におすすめしたい」作品に贈る賞。2022年7月~23年6月に単行本の新刊が発売された(ただし、合計5巻以内)、もしくは、雑誌などに最新話が発表された作品から選出。
◆1位『いやはや熱海くん』田沼朝
またひとり、マンガ界に新鮮な輝きを放つ〈スター〉が颯爽とデビューしました。高校1年生の熱海くんは〈非凡というわけではない〉のに目が離せないという意味で、大いに非凡なキャラクターです。
際立った特徴といえば(派手ではないけれど)すっきり整った顔立ちで、非常にモテる。ですが、熱海くんは同性が好きな男の子。なんとなく昼休みを一緒に過ごす1学年上の足立くんが気になって、週1ペースで足立家で夕飯をごちそうになる仲に。足立くんの家族にも気に入られまくるのです。
しかし、本作は「BL」でも「ブロマンス」でもありません。主人公および作品自体が、安易なジャンル括りを「必要としない」と宣言しているようにも感じられます。
本作の特徴をひとことで言い表すなら〈超フラット〉。熱海くんは「男の人が好き」ということを隠してはいないけれど、だれかれ構わず言うべきではないと思っている。悩んではいないけれど、自分の〈本当〉はどこにあるのかをゆっくりと考え続けている。自分に正直で、自分にも他人にも尊敬と期待をほどよく持っている人です。
そんな彼が〈自覚的に接近してみる〉人たちとの、滑らかな関西弁のやりとりにも心のマッサージ効果が。無駄な力がぬけていく―パワースポットのような作品です。
「読んだ後の人生に、ポジティブで静かなガッツをくれる作品です」(コミック編集者 伊藤絢子さん)
「ハイテンションでもコテコテでもない関西弁のやりとりがなんとも心地いい」(ブログ「マンガ食堂」管理人 梅本ゆうこさん)
「今年、友人や仕事仲間におすすめしている作品No.1」(honto電子書籍ストア コミック担当 荻野晶さん)
伊藤絢子(いとう・あやこ)さん
コミック編集者
文藝春秋編集者。元WEB少女まんがレーベル編集長。担当作に『鬼の花嫁』(スターツ出版)。
梅本ゆうこ(うめもと・ゆうこ)さん
ブログ「マンガ食堂」管理人
マンガに登場する料理を再現してブログ「マンガ食堂」で紹介。普段は会社員兼主婦。主な著書に『マンガ食堂』(リトル・モア)。
荻野 晶(おぎの・あき)さん
honto電子書籍ストア コミック担当
話題作からBLまでマンガ全般をこよなく愛し、月に100冊以上読む雑食派。マンガのキャラクターを讃えるアワード「マガデミー賞」の審査員も務める。
2023.09.07(木)
Text=Kozue Aou
Photographs=Ichisei Hiramatsu
Cooperation=UTUWA,AWABEES