この記事の連載
◆3位『クジャクのダンス、誰が見た?』浅見理都
主人公の心麦が、ふたり暮らししていた元警察官の父を放火により失う―衝撃的なエピソードで幕を開けるクライム・サスペンス。逮捕された容疑者は、父が関わった猟奇的殺人事件の犯人の息子。しかし、父が遺した手紙により、心麦は真犯人探しを余儀なくされることに。
心麦に協力する弁護士、雑誌記者に警察関係者、亡き父の友人等々、さまざまな人物の思惑が交錯するヒューマンストーリーとしても読み応え十分。「ジャングルの中でクジャクが踊っているのを誰も見ていなければ、それは起こらなかったのと同じなのか?」と問うタイトルも意味深。一筋縄では行かなそうな謎の連続に翻弄されつつ、好奇心がくすぐられてなりません。
「伏線は多いですが、今のところヒントがフェアに提示されている(ように見える)ので深夜の推理がはかどります」(編集者・元「このマンガがすごい!」編集長 薗部真一さん)
「夜通し読んでいたい、続きが待ちきれない作品」(マンガ家 鶴谷香央理さん)
薗部真一(そのべ・しんいち)さん
編集者・元「このマンガがすごい!」編集長
文藝春秋編集者。担当作に『週刊文春エンタ+』『証言「機動戦士ガンダム」』『この世界の片隅に 対談集』(文藝春秋)『翔んで埼玉』(宝島社)など。
鶴谷香央理(つるたに・かおり)さん
マンガ家
『おおきな台所』でデビューし、第52回ちばてつや賞準大賞を受賞。『メタモルフォーゼの縁側』(KADOKAWA)でも多くの賞を受賞。
2023.09.07(木)
Text=Kozue Aou
Photographs=Ichisei Hiramatsu
Cooperation=UTUWA,AWABEES