有名レストランが手掛けるお取り寄せは数ありますが、“世界一のレストラン”と称されるコペンハーゲンの「noma(ノーマ)」、そして和食の魅力を世界に発信する東京の「傅」が生んだ新アイテムと聞くと、俄然、気になる! それは、いずれも日常を豊かにしてくれる「だし」。さっそくご紹介しましょう。


「noma」のDashiが日本でも購入可能に!

 デンマークのコペンハーゲンを拠点とする「noma(ノーマ)」は、世界で最も予約が取りにくいレストランのひとつ。ガストロノミーの潮流に大きな影響を与えたニューノルディック・キュイジーヌの先駆者であり、世界各地でポップアップを展開するなど、独特の営業スタイルでも知られます。ちなみに、2023年3月から5月は京都で営業していました(予約は即日完売)。

 その「noma」が2022年、レストランの知識・技術・精神をフードイノベーションへと繋げるための新組織「Noma Projects」を設立。これまでに、「noma」のテストキッチンと発酵研究所の成果を活かしたソースや家庭用調味料――「スモークマッシュルームガラム」「ワイルドローズビネガー」「森のビネグレット」「セップオイル」「ウイスキービネガー」の5アイテムを、欧米諸国を中心に自社ECサイトで販売してきました。

親しみやすいのに新しいノルディックな「旨み」

 「Noma Projects」の6番目の新商品であり、凝縮調味料シリーズの第一弾として発売されたのが「Dashi RDX(だしリダクション)」。コペンハーゲンから日本への配送も可能となっています(アジアでは今のところ日本だけ)。「noma」が日本の食文化に寄せる深い愛情と研究、絶え間ない好奇心の集大成とのことで、これは期待大。

 「Dashi RDX」は、かつお節や昆布などから取る和風だし、醤油に似たスモークマッシュルームガムを使用。日本に学んだ伝統的な技法に独自の発酵・還元技術を組み合わせ、濃く、深く、複雑な味わいのシロップに仕上がっています。日本の調味料に例えるなら、たまり醤油に近いテクスチャー。

 焼き野菜、蒸し魚、卵料理、豆腐など、シンプルな料理の仕上げに使えば、素材の持ち味を底上げしながら風味豊かに。「いまひとつ味が決まらないな~」というときにひと振りするだけで、グッとシャープな味わいになります。飛行機内にも持ち込めるサイズなので、機内食が期待できないときにも便利に使える優れもの。

 「コンビニのおにぎりにたらすだけ、焼きとうもろこしにサッとぬるだけで、深い味わいを楽しむことができますよ」と話すのは、この商品の開発リーダーのひとりで、かつて飯田橋「INUA」で指揮を取っていたトーマス・フレベルさん。

 アジア人にとって親しみのある味でありながら、北欧の風土を感じさせる唯一無二の味わいは、日本の食文化にも造詣の深いトーマスさんの存在があってこそ。

 「あまり凝った料理はできないけれど、おいしいものが食べたい」「ボディメイクのためにシンプルな食事を心がけているけれど、物足りなく感じることがある」というときにも役に立つこと間違いなしの「Dashi RDX」。ぜひ普段の食卓で、世界一の旨みを気軽に楽しんでください。

 次のページでは、東京の日本料理店「傅」の長谷川在佑さんが手掛けた、ドリップ式の飲むおだし「Dashi-Cha」をご紹介します。

2023.07.04(火)
文=伊藤由起
コーディネート=江藤詩文