異性カップルだったら子供を持つまでに、そこまで考えなくていいのにってところまで話し合う必要もありましたし。

ーー「そこまで考えなくていいのにってところ」とは、どのあたりまで?

リカ 遺言書とか。

みっつん もし片方になにかあったらどうするか、もし子供が成人する前に僕らが死んだら誰が彼を見るのか、遺産の分配は誰に行くのか。そういったことをすべて書面に残して、弁護士さんにちゃんとした形で書いてもらうといった準備もしてきました。

リカ そのあたりは、親戚と友達にも相談して。

みっつん もともとは、契約したエージェンシーに勧められて準備したことなんですけどね。産んでくれる女性、生まれてくる子供、僕たちのように親になろうとする人、かかわるすべての人が対等にいられて、そのプロセスにおいて誰かが不幸になってはいけないことを大切にするエージェンシーだったので、僕らもいろいろと学ぶことができました。

出自を知らせる“真実告知”は「年齢に応じて」

ーー養子だと、出自についてその子に知らせる“真実告知”を行うケースがあります。代理出産でも、真実告知をする場合は少なくないものですか。

みっつん 真実告知に関しては、体外受精のクリニックにいらっしゃったカウンセラーさんから、「年齢に応じて伝えていきなさい」とアドバイスをもらいました。子供ってセックスを知らなくても、赤ちゃんが女性のお腹から出てくることは、わりと早くから理解しますから。そういった子供の理解度に合わせて伝えていくのがいいと言われました。

 

 それで、ふたりで息子の様子を見ては「そろそろ言ったほうがいいかな」と、4歳ぐらいの時に伝えたんですけど。スウェーデンは性教育が早くて、幼稚園でそういう話が出たりするので、そのタイミングに合わせて話しましたね。

ーーお子さんは7歳ですけど、いまは完全に理解を?

みっつん 代理母出産の仕組み自体は理解していないけど、自分にはパパがふたりいて、自分を産んでくれた人がアメリカに住んでいることはわかっています。すでにスウェーデンの幼稚園で、友達にそう言っていたそうです。ママという存在は、感覚としてないみたいですね。

2023.06.25(日)
文=平田裕介