みなさん、カレーはお好きですか?

 カレーの主材料であるスパイスは、東洋医学では「生薬」として使われていて古くから体を健やかにするために活用されてきました。

 様々な効能があるスパイスがブレンドされたカレー粉は、まさに薬効の宝庫。そしてどんな食材も不思議とおいしくしてくれるパワーがあって、季節の食材を煮ることでかさが減り、結果としてたっぷり食べられます。

 春にはため込んだものを速やかに排出して、のびやかに成長できる食材を。冬には体を温め、生命力を蓄えるような食材を。ありがたいことにカレー味はどんな季節の食材ともなじみ、食を進めてくれるのです。つまりカレーは「薬効の宝庫+季節の素材」がしっかりとれる養生食!

 しかもご存知のように、カレーはごはんがモリモリと進むもの。薬膳において白米は、気を補い消化機能を整える、元気な体を保つベースのような存在。このひと皿で、消化機能が弱いと言われる日本人の体にぴったりな一品となります。

 国際薬膳中医師で料理家の齋藤菜々子さんの新著「毎日食べたい 整いカレー」には、不調の悩みが強い人はもちろん、自覚がない方も季節のカレーと副菜を食べることで自然と体の調子が整うメニューが紹介されています。季節以外でも、気になる不調があれば、そのカレーを食べてみてください。

 今回は梅雨の不調を整えるカレーを3種類ご紹介しましょう。

オクラとコーンのカレー
鶏肉とアボカドのカレー
ツナ缶、じゃがいも、枝豆のカレー


◆「整いカレー」の特徴

1 小麦粉不使用、油も控えめ

 カレーというと「少しもたれる」「太りやすい」というイメージがある人もいるかもしれません。それは一般的なカレーは油と小麦粉をたくさん使うものが多いから。この本では小麦粉は使わず、油が控えめなので、食べたあとに重さが残らず、軽やかです。

2 白米に合うから毎日食べられる

 どのカレーも軽やかなので、いわゆる白米(うるち米)とも好相性。調味料もカレー粉をベースとしたシンプルなものばかりですが、具材や調理法でさまざまな味や食感のバリエーションを楽しめます。毎日食べても飽きません。

3 カレー粉を使い、手軽に作れる

 「スパイスカレー」というと、いろんな種類のスパイスを使いこなすハードル高めなイメージで、買って余らせる心配もあるかと思います。けれどこの本で使うスパイスは「カレー粉」のみ。スーパーで手に入る気軽な素材ですし、余らせる心配もないと思います。

4 フライパンまたは鍋ひとつ、短時間で作れる

 フライパンひとつで作れるレシピです。炒め作業もストレスなくできますし、口径が広いと煮込み時間も短縮できます。時間が必要なのは、煮込んだほうがおいしい具材があるとき。食材選びや切り方を工夫すれば、短時間でも充分作れます。

 では、さっそく梅雨の不調にぴったりの食材をご紹介します!

2023.06.24(土)
文=田中のり子、CREA編集部
撮影=衛藤キヨコ
スタイリング=久保百合子