#4 ただのルッキズムじゃない、国力をかけた“餅は餅屋”?
「自分は成功できるのか?」ではなく「自分はどのジャンルで成功するのか?」と幼い頃からシビアに考え、自分の才能と個性を成功に直結させる“餅は餅屋”の割り切りが韓国は凄い。だから女優を目指すなら整形も厭わず、今、韓国女優美形No.1とされるのが自身の整形を認めているパク・ミニョン。
もっとわかりやすいのはプロゴルファーで、以前は男子顔負けの運動能力と体格を誇る女子プロが世界のゴルフ界を席巻したが、イ・ボミという美人ゴルファーが日本で大人気となるや否や、一転ビジュアル系を次々輩出、豊満なバスト、引き締まった太ももを強調する超セクシーゴルファー、アン・シネが現れる。
国を挙げて全員“成功者”を目指す韓国流に呆気に取られつつも、アッパレしかない私たちなのだ。
#5 整形美人が天然美人より愛され幸せになってしまうドラマがヒット
韓国には、2種類の美人がいる。天然美人と整形美人。どちらも美人として認める国だから。象徴的なのがドラマ『私のIDはカンナム美人』。江南は美容整形の病院が密集する地区で、カンナム美人=整形美人。
容姿のことでいじめを受け長年苦しんでいたヒロインは、大学入学を前に「せめて普通になりたい」と整形手術を受けた。しかし元の顔を知っていた美男子の同級生は、顔ではなく彼女のありのままに次第に魅かれ、恋人になる。おまけに天然美人の方が実は屈折していて、整形美人であるヒロインに意地悪してくるという設定。
このドラマが凄いのは、人を外見で判断するルッキズムからの解放まで辿り着くところ。整形を産業と推奨してきた国の現在地を知りつつ、ヒロインを応援したくなる仕組みには脱帽だ。
#6 韓国女優の長身・腰高を作るのは、意識か、食べ物か?
日本人の平均身長が30年間伸びていないことがニュースになった。ある調査では、男性平均170.7、女性は158.0。一方、韓国人の平均は各々約3センチずつ高く、男性173.5、女性が161.1だという。1990年代の逆転からも差が開き続けている。食べ物のせい? でもタンパク質摂取量は日本人の方が多いとのデータも。
決定的なのは、韓国では“背が高いこと”の社会的なステータスが高く、親が子供の身長を伸ばすのに熱心で、背が伸びると噂(実際の効果は不明)の「テンテン」のようなサプリも人気を博してる。
逆に日本は男性の高身長に以前ほどのステータスはなく、意識の差は大きい。今韓国アイドルに世界のハイブランドが熱視線を向けるのも、抜群の腰高スタイルゆえ。高身長神話が見事に功を奏したわけだ。
2023.05.29(月)
文=齋藤 薫(美容ジャーナリスト)
Photographs=Hirofumi Kamaya(cosmetics)