#7 オルチャン出身男子、パク・テジュンが漫画家に転身して描いた『外見至上主義』

 “外見至上主義”自体は今、世界的に袋叩きにあっているものの、同名タイトルの漫画は大成功。その作者は、先述のテレビ『オルチャン時代』で一世を風靡、整形もカミングアウトしていることから、尚更大きな話題になった。

 内容は、外見にコンプレックスのある高校生が、ある朝目覚めると超絶イケメンに変身していて、2つの体を使い分けるという、いわゆる“変身モノ”。しかも最後に「やっぱり外見で人の価値は測れないよね」という展開になるかと思いきや、逆にイケメンの方がヒーローとなり、やっぱり見た目が良い方が世の中生きやすいという結論となって、反論も噴き出した。

 でも作者自身が同じ体験をしたという説得力には勝てない雰囲気もあり、本人が幸せなら外見主義もOKと、多様性の時代に波紋を投げかける結果となった。

『オルチャン時代』出身のパク・テジュンは、現在T.Jun名義の漫画家。『ドラゴンボール』の鳥山 明、『行け!稲中卓球部』の古谷 実など日本の漫画家から多大な影響を受けているという。著作の日本語版では舞台が日本になり、超絶イケメンに変身する主人公パク・ヒョンソクは「長谷川蛍介」という名前に。
『外見至上主義』T.Jun 既刊3巻 858~935円/KADOKAWA

#8 色のバリエを無駄に増やさない、それって一体なぜ?

 唇アイテムは赤系のバリエ、アイシャドウはブラウン系のバリエ……韓国コスメはそこに強くこだわっている。それ以外の色は要らないくらいの勢いで。なぜか。韓国女性は、メイクのためのメイクをしない。

 あくまでも肌をキレイに見せるためのメイクだから、ポイントメイクは絶対頑張らない。余計なメイクはしないのが、一つの不文律なのだ。均一な白肌を強調するため、チークもあまり塗らない。唇がいつも赤系なのは、血色の色が肌をより白く見せるから。

 目元は影色の濃淡で立体感を作りながらも、透明度の高いアイメイクで、肌の美しさの邪魔をさせない。人間が本質的に持っている色の範囲を超えないのが、韓国ルール。ただ薄いだけではない、儒教の教えの如きナチュラルが日本人には目を見張るほど美しく映るのだ。

サン・スマイル

電話番号 03-3505-4430
https://sunsmarche.jp/collections/i-m-meme

#9 日本の色白願望と、韓国の白肌至上主義は違う? だから肌作りも独特

 オルチャンの延長上にある韓国メイクの絶対の決め手は、内から輝く透明で真っ白な水光肌。日本女性にも色白願望は昔からあったが、白さの意味がちょっと違う。

 日本の白肌は覆って作る白。韓国は透き通らせて作る白。だから白肌の作り方も独特で、主役はファンデよりも下地。トーンアップとツヤ作りのハイライトが命なのだ。色のつかない陶器肌作りのベースや、ツヤ玉を作るグロウクリームをファンデに混ぜて使ったりするのも、韓国ベースメイクの常套手段。

 韓国では「皮膚管理」として美肌のためだけに皮膚科に通うのが普通であるほど、素肌美を大事にする。どうあろうとファンデの気配が見えない、水光肌作りに全集中。その圧倒的美しさに、日本の色白願望もさすがに書き換えが始まった。

ナンバーズイン

https://numbuzin.jp/

2023.05.29(月)
文=齋藤 薫(美容ジャーナリスト)
Photographs=Hirofumi Kamaya(cosmetics)

CREA 2023年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

いま、進化する韓国へ!

CREA 2023年春号

いま、進化する韓国へ!

定価950円

「CREA」2023年春号は久しぶりの韓国特集。韓屋や古いビルを大胆にリノベーションしたカフェ、アートピースみたいなスイーツ、新しい感性で作られる器や伝統の布――。久々の韓国は何もかもがパワフルに、ダイナミックに新しく変わり続けていました! ソウルを中心に、現地でやりたいことを詰め込んだ一冊を片手に、旅に出かけませんか。