すっかり人気が定着したタイ発のBLドラマ。最新作『Make A Wish』は、幽霊が見える医師と、彼の悩みを解決するために現れた天使が、ある事件の犯人を捜すうちに恋に落ちるという、ロマンティック・コメディであり、ミステリーだ。
奔放な天使を演じたのは、「Between Us~縒り合わせる運命~」(2022)、「Until We Meet Again~運命の赤い糸~」(2019)など多くのBLドラマで人気のフルーク(ナタット・シリポントーン)。医師プームを演じたのは「The Miracle of Teddy Bear」(2022)のユド(タンタット・ターリンピロム)。
敬虔な仏教徒が多いタイでは、中学、高校の夏休みに出家経験をする生徒が多いのだそう。一種のサマーキャンプのようなもので、親の希望で徳を積むために参加することが多いそうだが、剃髪もする。フルークさんも、中学生の時に一時出家したことがある。インタビュー後半では、出家体験などを語ってくれた。(全2回の2回目。前篇を読む)
――タイでは、男性が出家をすることは普通だそうですね。フルークさんも一時出家したことがあるそうで、剃髪した写真も拝見しました。そういう経験が仕事に影響を与えていますか?
フルーク 出家したのは中学生の頃、1週間ほどです。出家をしたからといって、何かスピリチュアルな経験をするわけではないのですが、俳優の仕事にとって良い影響があるとしたら、修行で集中力が鍛えられたことですね。特に今回は天使という、見たことがないものを演じなくてはいけなかったので、集中力が必要でした。
ユド 僕は頭を丸めての出家はまだしたことがないんですが、高校時代の夏休みにお寺に行って、瞑想をしたことはあります。子供でしたから、それで何か影響を受けたとかはないのですが、コロナ禍になってから、ちょっと気持ちが落ち込んだ時など、よくお寺に行くようになりました。心が鎮まるし、じっくり自分と向き合うことができる。それはとても良い経験になりましたし、仕事にも今後生きていくと思います。
――フルークさんは、コロナ禍をどんなふうに過ごしましたか?
フルーク ある意味で、ビジネスのチャンスだったと思います。コロナ禍で家賃が下がったこともあって、カフェを始めたんです。新型コロナの影響で俳優の仕事はストップしてしまったので、何か他にできることはないかと思ってスタートさせたんですね。コロナ禍でも、カフェは営業できましたから。
――なるほど。では、お二人が『Make A Wish』の中で、好きなシーンや印象に残っていることを教えてください。
2023.06.05(月)
筆者=石津文子
撮影=釜谷洋史