デビューアルバム『初期の台風クラブ』以来、5年半ぶりとなるセカンド作『アルバム第二集』を発表した、京都出身の3ピースロックバンド、台風クラブ。
昨今のシーンでは珍しいほどのストレートなロックサウンドを聴かせる彼らだが、その音楽性はただ「シンプル」では済ますことのできない奥行きと広がりを持っている。
ロックンロールへの愛と、愛ゆえの反骨、そして恥じらい。それらがないまぜになった彼らの音楽は、時代を追うごとにどんどん曖昧化していく(ようにみえる)「ロック」というものの核心を、追いかけっこと遠回りを経てむんずと掴み取るような、そんな楽しさに満ちている。前作以上に様々な要素が反映され新たな側面をみせる今回のアルバム『アルバム第二集』には、「ロック」とか「バンド」というものが持つ、曰く言い難い魅力が見事に宿っていると感じる。
石塚 淳(ギター)、山本啓太(ベース)、伊奈昌宏(ドラム)に話を聞いた。
当時はHi-STANDARDとかGOING STEADYはダサいと思ってた
――アルバムの冒頭「野良よ!」は既にシングルでもリリースされていた曲ですが、初めて聴いたときはホントにびっくりしました。思いっ切りメロコア、青春パンク調で。
石塚淳(以下石塚) 中高生の頃は初期のロックンロールやガレージパンクが好きで自分でもそういうバンドをやっていたので、Hi-STANDARDとかGOING STEADYがブレイクしたころはむしろこういう音楽を積極的に遠ざけていたんですよ。正直、ダサいと思ってた。けど、2021年の頭にたまたまハイスタの『MAKING THE ROAD』を聴く機会があって、「あれ? コレってめっちゃカッコええやん」って思って、自分たちなりにやってみました。
山本啓太(以下山本) 僕も石塚と同じで、学生時代は絶対メロコアは聴かんし、短パン穿かんし、ベースのストラップもなるべく短くって感じだったんですけど(笑)、石塚に「ハイスタ、ええで」って言われて聴いてみたら「ホンマやん」と。年を重ねていくうちに、偏見がなくなってきたってことかもしれません。
2023.04.16(日)
文=柴崎祐二
写真=釜谷洋史