腸内細菌をベストなバランスで維持するために、簡単に始められるのが、ふだん使ってる調味料を“本物”に変えること。“菌オタク”の料理家・清水みのりが、とっておきの調味料と発酵レシピを紹介する『調味料を変えるだけ! 身体が喜ぶ発酵調味料メソッド』(方丈社刊)より、記事を一部抜粋してご紹介します。

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本物の調味料の選び方 みりん篇

●選ぶポイント
・本みりんと表示があること
・原料がもち米、米麹、米焼酎のみ
・熟成期間が1年以上のもの

本物のみりんは発酵調味料である!

 まずは「本みりん」と「みりん風調味料」の違いを解説していきます。「本みりん」は、原料がもち米・米麹・焼酎(または醸造アルコール)でアルコールが14%程度含まれる「お酒」です。原料は、蒸したもち米と米麹、焼酎。焼酎のアルコールの力で分解はゆっくりです。時間をかけて微生物たちが原料を分解し、もろみがつくられます。もろみの期間は、2~6か月。その後、圧搾した液体をさらに1年以上熟成させるのが、伝統的な製造法。そのまま飲んでもおいしいみりんが完成します。

 一方、「みりん風調味料」はアルコール1%未満の水がベース。そこに水あめ、ブドウ糖などの糖類や化学調味料などを加えて、本みりんに似せたものです。コハク酸(酸味料)、グリシン(酸化防止剤、pH調整剤)、着色料を混ぜていたりします。原料を発酵・熟成させる「本みりん」とはまったくの別物で、発酵調味料ではありません。

 「本みりん」を選ぶ際も注意が必要です。醤油のようにJAS法の縛りがなく、お酒なので酒税法が適用されますが、酒税法の「本みりん」原料の定義が、「米、米こうじ及び焼酎又はアルコールにみりん、トウモロコシ、ブドウ糖、水あめなどを加えて、濾したもの」。そのため、数倍に薄めて醸造アルコールや糖分で味つけしたとしても、それは「本みりん」です。薄めたり、加工されたりすることなく、米麹・蒸したもち米・米焼酎の3つだけを合わせ、微生物の力で発酵させて、1年~数年間熟成させたものを使いたいですね。

2023.02.03(金)
文=清水みのり
写真=落合星文