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 CREA秋号「夜ふかしマンガ」特集では、BLドラマブームを機にさらに盛り上がるBLマンガの世界について、マンガ家の志村貴子さん、小説家の一穂ミチさんに語っていただきました。BLを愛するふたりがおすすめする作品は今すぐマイリストへ。


新しい世界が広がるきっかけはBLマンガ

一穂 私、20年以上志村ファンなんです。今日は気を失うかと思いつつ対談に臨んでいます(笑)。

志村 ありがとうございます。私は一穂さんの小説を、昨年話題になった『スモールワールズ』(講談社)から手に取りました。とても面白くて衝撃を受けて、『イエスかノーか半分か』や『ブルーモーメント』も読みました。

一穂 私はずぶずぶの腐女子で、休日は電子書籍サイトの新着欄で気になったBLマンガをひたすら読むんです。だから逆に、初心者の方へのおすすめができるか不安。志村さんはいかがですか?

志村 BLは好きなんですけど、まだ「JUNE」と呼ばれていた時代のほうがたしなんでいたかもしれません。吉原理恵子さんの『間の楔』とか、秋月こおさんの富士見二丁目交響楽団シリーズ(KADOKAWA)とか。

一穂 志村先生の描かれるBLって、ザ・BLという世界観が薄いんですよね。型にはまりすぎていない。どきっとするほど意地悪なことを言う子や、自分がまだわかっていない子が出てきて、読んでいると苦しいことも。ふんわりした幸福感を求めて読む人はびっくりするんじゃないかな。

 だからこそ、あまりBLを読んでない人に感想を聞いてみたい。『ブルーム・ブラザーズ』はいろいろなキャラクターが出てきて、甘酸っぱいのもスパイシーなものもほろ苦なのもあって、最初の一冊におすすめ。

2022.11.12(土)
Text=Hirarisa

CREA 2022年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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