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「やっぱりテレビってダサい」と思われたくない!
――「イワクラと吉住の番組」はオープニングCGからスタジオセット、小物に至るまでビジュアルにもすごくこだわりを感じます。これは小山さんの意図ですか?
そうですね。ビジュアルについて考えるのが好きなんです。毎回、自分の番組はがっつり自分でイメージをつくってます。「イワクラと吉住の番組」だと、まず夜の明るいリビングみたいなイメージがあって、そこから小道具やその他の要素を考えていき、美術さんには「こういう画面にしたいんです」とテロップを載せた画面のイメージから伝えました。深夜枠で低予算な中で、美術さんがかなり頑張って実現してくれました。
――なぜそこにこだわりが?
番組のセットとかって、ぼーっと見ていてもイメージとして残ると思うんです。ロゴやセットの雰囲気込みで覚えてもらうきっかけになるし、そこをこだわることで自分の番組が誰かの記憶の中に何かしら残ったらいいなと思ってます。めちゃくちゃ楽しんでやってるので、自己満足の部分も大きいんですが。
――テロップも、単語ごとにフォントを変えていたりして凝ってますよね。
それも好きなだけなんですけど、こだわりはありますね。なるべくダサくなりたくない。最近はサムネイルやスクショでテロップが載った1枚絵で観られることが増えているので、そういう部分も意識してフォントや文言もかなり細かくチェックしてます。
――小山さんが「ダサい」と思うのはどんなものなんでしょう。
なんだろう。番組としての色が見えてこないものをダサいと思っているのかもしれません、私はそこがちゃんと見えるようにしたいなと思っています。内定をもらってから入社するまでの期間に改めてテレビを観ていたときに、実は結構統一感がない番組も多いんだなと思ったんです。こだわりがない人はまったくない部分ですが、ある人からすれば気になるんですよね。自分より下の世代に「やっぱりテレビってダサいよね」と片付けられないものにしたいという気持ちはあります。
――まさに「イワクラと吉住の番組」を初めて観たとき、「この番組をこう見せたい」という強い意志が全体を貫いていると思いました。
嬉しいです。でも、やりすぎてしまうとお客さんを減らす行為にもなりかねないので、そこのバランスは気をつけなきゃと思ってます。「あぁ、女が観るやつね、はいはい」ってチャンネル変えられちゃったらもったいないので。男女共に観てもらいたいものなんですが、そこはせめぎあいで難しいですね。
2022.10.22(土)
文=斎藤 岬
写真=平松市聖