イオラニ宮殿で知る、日本とハワイ王朝とのつながり

 イオラニ宮殿は、かつてハワイ王朝の王族たちが暮らしていた、アメリカで唯一の王宮。1882年に建造され、王朝転覆の1893年まで政治・文化の中枢でした。

 今では博物館として広く公開され、宮殿の向かいに建つカメハメハ大王像と合わせて、ハワイの歴史に触れられるスポットのひとつです。

 ただ館内を見て回るだけでも、当時の王族たちの絢爛豪華な暮らしが見て取れるのですが、より理解を深めるならドーセント(展示解説担当者)のツアーに参加するのが断然おすすめ。

 今回はコロナ禍の後にスタートした「HAWAII’S ROYAL CONNECTION TO JAPAN TOUR」(日本語のガイドは要予約)に参加しました。なんと、明治時代から日本とハワイ王朝はつながりがあったとは!

 最初に見学するのは、コアの木の階段がみごとなグランドホール。壁にハワイの歴代君主の肖像画が飾られています。カメハメハ4世の時代に、アメリカから帰還途中の咸臨丸がハワイに立ち寄り、木村摂津守(きむらせっつのかみ)と通訳のジョン万次郎らが謁見。国王より日本からハワイへの移民を打診されたとか。

 さらにハワイと日本の関係が接近するのはカラカウア王朝。1881年にカラカウア王が18カ国を回る旅に出た際、最初に訪れた東洋の地が日本だったそう。24日間、荒波を乗り越えて到着した日本で盛大な歓迎を受け、王は感涙したとか。

 また、ホールに飾られている有田焼の花瓶は、カラカウア王の戴冠式に明治天皇が贈ったもの。当時、明治政府は工芸品に力を入れ、「温知図録」というデザイン集のような図録を作成。その中に、この花瓶と同じ牡丹等の図柄が。さらに、三の丸尚蔵館にはこの壺と同じ形のものがあるそうです。

 館内では部屋ごとに、青で統一された間や音楽を楽しむ間など、当時の華麗なる暮らしぶりを伝えています。一方で、当時のトイレやバスタブといった装備が王族のリアルライフを想像させ、どこか身近にも思えてくるから不思議です。

イオラニ宮殿

所在地 364 South King Street, Honolulu, HI 96813
電話番号 +1-808-522-0822
入館料 大人US$30。Royal Connection to Japan ツアーは毎週水曜午後13:00~(定員6名)大人US$69.95、子供US$44.95(予約時に日本語ツアー希望とリクエストを。)毎週水曜、木曜15:30~催行の日本語ドーセントツアーは大人US$30。
https://www.iolanipalace.org/

古関千恵子 (こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること30年あまり。
●オフィシャルサイト https://www.chieko-koseki.com/