140字ずつ40ツイートほどの、Twitterにしてはトータルで長文となる文字数を次々と読ませていく方法についても、アザケイは分析的に発信している。「やっぱり140字の連続って、独特なリズムを生みます。一つ一つのツイートに山場がないと離脱されてしまうので、パンチラインを出し続けるという、たぶんこれまであまりなかった方法をとっています。Netflixとかも連続ドラマをつくる時、離脱がなく一気見されるようにそういうのを意識してると聞くんですけどね。
スマホで原稿を書くけれど、本当はスマホは…
イメージとしては、捨て場のない紙芝居みたいなもの。一つツイートが良ければ、次も読んでくれる。最初に読んだ人が最後に何%残って読んでくれてるかとか、そこらへんをすごく意識して書いてます。だからTwitter小説には現代のいいところも悪いところも詰まってるなって思います。発信側だけでなく、読む側のコンテンツに対する接し方も、すごく現代的」
スマホで表現活動をしつつ、日常では意識的にスマホと距離を置くようにもしているそうだ。「スマホ触っちゃうと頭がスマホに乗っ取られるんです。活字が欲しくなっちゃうんですよ、スマホ持ってると。本読むか、ウィキペディア見てるか、インターネットなんかで意味のないことをずっと調べてるか。
今日はオクラが何語か調べてましたね。だからスマホは家に置いて、散歩に出ます。考えながらテクテクお散歩して、趣味の美味しいご飯に行く時も基本的にスマホは開かない。けどスマホありきの暮らしです(笑)」
気をつけろ、港区には麻布競馬場が歩いている
アザケイは、こんな論議を呼ぶ本を出版したことを実家の両親に言えるのか?「言えないですね(笑)」。だが今後の活躍が進めば、身バレのリスクも高まるだろう。いつかはカミングアウトして、専業作家になることも視野に入っているのだろうか。
「そうですね……。でもたぶんサラリーマン辞めちゃったら、ほんとにただの文章うまいおじさんになっちゃうなという気がしてて。今も仕事で色んなとこ行ったり、色んな人と会って、それは楽しいんです。あとやっぱりサラリーマンってすごいですよ、毎年本が10万部売れるぐらいのお金が入ってくるので。
2022.09.12(月)
文=河崎 環