二人の漫画家が人気作に終止符を打ち、次なる舞台に歴史を選んで新たな作品を生み出している。
ひとりは、産科医を主人公にした『コウノドリ』が2020年5月に完結(2012年連載開始/全32巻)した鈴ノ木ユウさん。現在は『週刊文春』で司馬遼太郎の『竜馬がゆく』のコミカライズを連載中である。
もうひとりは、交番勤務の女性警察官を主人公にした『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』を今年(2022年)の6月に一旦終了(2017年連載開始/既刊21巻)した泰三子さん。現在は、新しい歴史物の作品の準備中だという。
このインタビューでは、同じ漫画雑誌「モーニング」(講談社)で連載していた縁で「大親友ですよ(笑)by鈴ノ木さん」「いつも飲んでるくらいの心の距離感はあるつもりなんですけど(笑)by泰さん」というお二人に人気作を終えたときに感じたことや、新しい連載を立ち上げる苦労、そして歴史への興味と、時代物を描く難しさや面白さなどについて語っていただいた。(全2回の1回目/続きを読む)
職業漫画といえば「モーニング」
――まずは『コウノドリ』と『ハコヅメ』というお二人の代表作の始まりについて教えていただけますか。
鈴ノ木 『コウノドリ』の前に短期連載していた音楽ものは、アンケート10位以内になれば連載と言われていたんですけど、最高が11位だったんですよ。そしたら微妙な空気が漂いまして……。編集部からは連載してもいいって言われましたが、別の漫画を描きますって言ったんです。そのときはまだ何を描くか決めていなかったんですけど、妻から「産婦人科描いてみたら」って言われまして。妻の幼馴染に産婦人科の先生がいて、ポケベルをビニール袋に入れてお風呂に入ってたなんて話を聞いていたんです。
――いつでも病院に駆けつけられるようにですね。知らないことがたくさんあったと。
鈴ノ木 はい。それで興味をもって一話描いてみようかなと思ったのがきっかけですね。
2022.09.10(土)
文=岡部敬史